◎両国はコロナの世界的流行を理由に貿易を約2年間休止していたとされるが、今年1月、鉄道輸送を再開した。
2019年6月21日/北朝鮮の錦繍山太陽宮殿近く、金正恩 党総書記と中国の習近平 国家主席(AP通信)

中国政府は29日、コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、北朝鮮との鉄道貨物輸送を停止すると発表した。

両国はコロナの世界的流行を理由に貿易を約2年間休止していたとされるが、今年1月、鉄道輸送を再開した。

中国外務省の報道官は29日、「貨物便の停止は丹東市の現在の感染状況を考慮し決定された」と説明したが、それ以外の詳細は明らかにしなかった。

丹東市の自治体は25日、コロナの蔓延を食い止めるため、すべての住民に速やかに帰宅し、自宅にとどまるよう命じていた。

丹東市は中国の主要物流拠点のひとつで、北朝鮮と国境を接している。

自治体は住民のニーズに応えるために努力すると述べたが、北朝鮮との貨物輸送については言及せず、封鎖の期間も明言しなかった。

多くの国が規制を撤廃する中、中国は「ゼロコロナ政策」を維持すると誓っており、各地で大規模な一斉PCR検査とロックダウンを行い、厳格な国境管理を維持している。

中国は北朝鮮の主要ドナーであり、北にとってなくてはならない存在である。1月の貿易再開は恐らく、支援の必要性が高まったことを受け決定したものと思われる。

北朝鮮はコロナの侵入を完全に阻止したと主張しているが、西側諸国はこの主張に疑問を抱いている。

2年にわたる貿易の全面禁止は、キム一族の数十年にわたる不作為と、核ミサイル開発を推進したことによる米国主導の厳しい制裁でダメージを受けた北の経済に追い打ちをかけた。

韓国の専門家によると、北は食料生産を高めるための肥料づくり、低迷する工業を加速させる取り組み、そして金正恩 党総書記が主要な成果として宣伝する野心的な開発プロジェクトを支える建設資材の輸入に重点を置くという。

キムは国民が厳しい生活を余儀なくされているにもかかわらず、核ミサイル開発に限りある財源を投入すると誓い、ミサイル実験を繰り返し、費用のかかる軍事パレードを行っている。

北朝鮮の食糧不足は極めて深刻と伝えられているが、実態はほとんど明らかにされていない。

1994年から1998年頃に発生した大飢饉では、市民200万~350万人が餓死または栄養不足に関連する病で死亡したと推定されている。

しかし、キムは25日に行われた壮大な軍事パレードの中で、敵を全滅させるために、あらゆる方法を駆使して力を強化するよう軍に呼びかけた。

2022年4月27日/北朝鮮、首都平壌の金日成広場、金正恩 党総書記(Korean Central News Agency/Korea News Service/ロイター通信)
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