◎ウイグル人、チベット人、その他の少数民族、そして香港の国民を支援する団体は5月17日に発表した声明の中で、「北京2022のボイコットを関係各国に強く求める」と述べた。
2021年2月3日/インドのダラムサラで開催された2022北京冬季五輪の開催に反対する街頭抗議(AP通信/Ashwini Bhatia)

米主要メディアによると、中国共産党の少数民族に対する人権侵害に反対する団体は、北京2022冬季五輪のボイコット運動を本格化させたという。団体は国際オリンピック委員会(IOC)、スポンサー、各国のスポーツ連盟に圧力をかけており、北京2022を「ジェノサイド(大量虐殺)オリンピック」と呼んでいる。

ウイグル人、チベット人、その他の少数民族、そして香港の国民を支援する団体は5月17日に発表した声明の中で、「北京2022のボイコットを関係各国に強く求める」と述べた。

チベット行動研究所のラドン・テトン氏はAP通信のインタビューの中でこの動きを歓迎し、「IOCと協議する時間は終わった」と述べた。「IOCと国際社会は現実を直視しなければなりません」

北京2022は東京2020の閉会式からわずか半年後の2022年2月4日に開幕する予定である。人権団体は昨年、IOCと数回会談し、北京2022を中止するよう求めた。会談には世界ウイグル会議の主要メンバーも参加している。

テトン氏は北京2008夏季五輪が開幕する1年前にチベットの人権キャンペーンを主導した罪で共産党に拘束され、国外追放された。「共産党は弾圧と虐殺を推進し続けています。オリンピックを開催すれば、国際社会は共産党の人道に反する行為を承認したことになるでしょう」

一方、中国の人権問題に焦点を当てる米国議会の合同聴聞会に出席する米五輪・パラ五輪委員会は17日、「ボイコットはアスリートを傷つけるだけで、意味がない」と声明を発表した。

IOCは北京2022を取り巻く様々な問題について、「IOCは中立であり、政治から離れなければならない」と繰り返し主張している。IOCは収入の約75%をスポンサーの放映権、18%をスポンサーから得ている。

IOCのトーマス・バッハ会長は先日、「私たちは超世界政府ではない」と述べ、五輪と政治は分けて考えなければならないとあらためて主張した。

2021年2月3日/インドのダラムサラで開催された2022北京冬季五輪の開催に反対する街頭抗議2(AP通信/Ashwini Bhatia)

米国務省は最近公表した報告書の中で、共産党指導部は新疆ウイグル自治区西部地域のイスラム系少数民族ウイグル人に対して、人道に反する虐殺と罪を犯したと明確に述べている。

チベット行動研究所のテトン氏は、アスリートがボイコットに反対する可能性があることを理解していると述べたうえで、「ブラック・ライヴズ・マター運動に参加した人々が同盟国となり、一緒に声を上げるかもしれない」と期待を表明した。「私たちはアスリートが人生をかけて努力していることを知っています。しかし、彼らを現在の立場に置いたのはIOCです。IOCが北京を選ばなければ何も問題はありませんでした。金の亡者であるIOCは責任を取らなければなりません」

一方、アメリカの五輪金メダリスト、ミカエラ・シフリン氏は先日放送されたCNNニュースのインタビューの中で、「アスリートは苦しい立場に置かれている」と主張した。「アスリートを政治の問題に巻き込むべきではありません。しかし、私たちも道徳と人権の重要性を理解しています...」

テトン氏はAP通信のインタビューの中で、IOCのトップスポンサーであるNBCに働きかける可能性があると示唆した。NBCはIOC、スポーツ連盟、市民社会グループに莫大なスポンサー料を支払っている。「NBCに道徳的な質問をしたいと思っています。開催国が競技場のすぐ近くで大量虐殺を行っています。平和の祭典であるオリンピックを開催しても大丈夫ですか?」

IOCは数年前に締結されたパリ2024パラ五輪の開催都市契約に人権要件(国連のビジネスと人権に関する指導原則)を含めたが、北京の契約には含まれていなかった。パリ大会は人権団体が長い間求めてきた人権原則を含む最初の五輪になる予定。

アメリカ、イギリス、ドイツを含む西側諸国と人権団体は先週、少数民族を弾圧し続ける共産党指導部を非難し、国連の独立した機関による調査を要求した。バーバラ・ウッドワード英国連大使は会議の中で、新疆ウイグル自治区の状況を「最悪の人権危機」と呼んだ。

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