ADB、アジア太平洋地域のGDP成長予測引き上げ 2026年
ADBは中東で続く紛争の影響により原油や天然ガスなどのエネルギー供給が不安定化し、物流網にも混乱が生じていると指摘した。
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アジア開発銀行(ADB)は8日、「アジア経済見通し(Asian Development Outlook)」の改訂版を公表し、アジア太平洋地域の新興・途上国・地域(日本、オーストラリア、ニュージーランドを除く)の2026年の域内GDP成長率予測を4.7%から4.9%に引き上げた。4月時点の予測では5.1%から大幅な減速を見込んでいたが、その後の経済情勢を踏まえ、小幅ながら上方修正した。一方で、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇や供給網の混乱が引き続き域内経済の重荷となるとの見方を示した。
ADBは中東で続く紛争の影響により原油や天然ガスなどのエネルギー供給が不安定化し、物流網にも混乱が生じていると指摘した。企業の生産コスト上昇や家計の購買力低下が域内経済を下押ししているものの、一部の国・地域では内需の底堅さや輸出の回復が景気を支え、想定よりも良好な成長が見込まれることが今回の上方修正につながったとしている。
国別では、半導体や電子部品などハイテク製品の需要回復が輸出国の景気を下支えしているほか、中国でも景気対策や消費回復を背景に経済活動の持ち直しがみられる。一方、インドは引き続き高い成長率を維持するものの、エネルギー価格の上昇や外部環境の悪化が成長ペースをやや抑制すると見込まれている。地域全体としては、各国の経済構造やエネルギー輸入への依存度によって影響に差が生じるとの分析を示した。
ADBはまた、インフレ圧力についても警戒を続けている。エネルギー価格の高止まりは電気料金や輸送費を通じて物価全体を押し上げる可能性が高く、各国の中央銀行は景気下支えと物価安定の両立という難しい政策運営を迫られると指摘した。さらに、地政学的リスクの長期化や世界的な貿易摩擦の再燃、金融市場の変動なども成長を下振れさせる要因として挙げた。
一方で、デジタル関連投資やインフラ整備、民間消費の拡大が続けば、域内経済は底堅さを維持できるとの見方も示している。ADBは各国政府に対し、財政の健全性を確保しつつ、エネルギー安全保障の強化やサプライチェーンの多様化、生産性向上に向けた構造改革を進めるよう求めた。
世界経済では国際通貨基金(IMF)が同日、2026年の世界全体の成長率見通しを引き下げた。ADBはアジア新興国・地域が世界経済を支える成長エンジンであり続けるとの認識を維持しており、今後も地政学的リスクやエネルギー市場の動向が域内経済の最大の焦点となりそうだ。
