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ヨルダン川西岸地区、ユダヤ人入植者の襲撃に備えるパレスチナ人の現状

イスラエルは1967年以降、西岸の入植地を拡大してきた。
パレスチナ自治区、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地(ロイター通信)

イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の町シンジル(Sinjil)で、住民がユダヤ人入植者による攻撃から地域を守るため、独自の防衛活動に乗り出している。夜間に丘の上で周囲を監視するボランティア組織を結成し、入植者による襲撃の兆候を見張るという取り組みだ。背景には、イスラエル当局やパレスチナ自治政府が住民を守ってくれないという強い不満がある。

ロイター通信によると、6月のある夜、シンジルでは約15人の住民が丘の頂上に集まり、懐中電灯を手に周囲の谷を監視していた。彼らは近隣の入植地や前哨拠点から武装したユダヤ人入植者が接近してこないかを確認するため、交代で警戒を続けている。活動は通信アプリなどを利用して組織化され、町全体で情報を共有する仕組みになっている。

シンジルでは近年、入植者による暴力への懸念が高まっている。住民たちは家屋や車、農地への被害、住民への暴行などが繰り返されていると訴えてきた。特に2023年10月にガザ地区で戦争が始まって以降、西岸地区では入植者による攻撃が急増し、複数の地域で住民が避難を余儀なくされ、土地を奪われたと報告されている。シンジルの当局者も襲撃で死者や避難者が出ていると明らかにしている。

住民が自衛組織を作る背景には、安全保障機関への不信がある。パレスチナ自治政府はイスラエル軍が入植者による攻撃を十分に阻止していない、あるいは入植者を支援していることがあると批判している。一方、イスラエル政府は入植者による暴力行為を取り締まる立場を示しているが、国際社会や人権団体はイスラエルが西岸での入植地拡大と暴力を事実上容認していると批判している。

イスラエルは1967年以降、西岸の入植地を拡大してきた。国際社会の多くはこれを国際法違反と位置づけている。イスラエルは歴史的・宗教的つながりを根拠に異なる見解を示しているが、入植地の拡大はパレスチナ国家樹立を柱とする「二国家解決」の実現を困難にする。

シンジルの住民にとって、丘の上での夜間監視は単なる防犯活動ではない。自分たちの土地と生活を守るための最後の手段という意味を持つ。ある住民はロイターの取材に対し、「誰も助けてくれないため、自分たちで町を守らなければならない」と語った。

入植者による暴力と、それに対する住民の自主的な防衛活動の広がりは、ヨルダン川西岸で緊張が深まっていることを示している。シンジルの取り組みは国家機関による安全保障が機能しないと感じる人々が、地域共同体による防衛という形で対応せざるを得なくなっている現状を浮き彫りにしている。

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