▽ゴンザレス氏は中南諸国を歴訪中。国賓としてアルゼンチンを訪問し、ミレイ大統領と会談した後、バイデン米大統領とも面会した。
南米ベネズエラの野党指導者ゴンザレス(Edmundo González)氏が8日、訪問先のパナマでムリノ(José Raúl Mulino)大統領と会談し、支持を取り付けた。
ムリノ氏は会談後の記者会見でゴンザレス氏を次期大統領と呼び、「あの大敗した独裁者が選挙結果を操作し、権力にしがみつこうとしている」と非難した。「あの男は公然と選挙を操作し、勝手に勝利を宣言し、野党を弾圧しています...」
ゴンザレス氏は大統領選でマドゥロ氏に大勝したことを示す選挙管理当局のデータを示し、「私はまもなく大統領に就任する」と強調した。
ゴンザレス氏は中南諸国を歴訪中。国賓としてアルゼンチンを訪問し、ミレイ(Javier Milei)大統領と会談した後、バイデン(Joe Biden)米大統領とも面会した。
その後、ウルグアイとドミニカで国家元首や外相らと会談し、パナマに移動した。
ゴンザレス氏は「10日の大統領就任式に出席する」と強調したが、逮捕状が出ている中でどのように帰国するのか、また到着後にどうやってマドゥロ氏から政権を引き継ぐつもりなのかは明らかにしていない。
マドゥロ氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は昨年7月の大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。
マドゥロ氏は1月10日の就任式で3期目をスタートさせる予定だ。
コロンビアのペトロ(Gustavo Petro)大統領は8日、ベネズエラで著名な人権活動家が逮捕されたことを受け、マドゥロ氏の「偽の」就任式には出席しないと表明。ゴンザレス氏を次期大統領と呼んだ。
ペトロ氏は少数与党が厳しい国会運営を余儀なくされていることを受け、野党が求める反マドゥロに舵を切ったとみられる。野党はマドゥロ氏を「世界一間抜けな男」「左翼ゲリラの首長」などと呼んでいる。
ペトロ氏はSNSへの投稿で、「偽の式典には出席しない。ゴンザレス氏大統領就任おめでとう!」と述べた。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。