◎ベネズエラの司法長官は23日の記者会見で、ゴンザレス氏が証言に応じず、支持者を煽っていると主張した。
ベネズエラ、首都カラカス、大統領選に立候補したゴンザレス氏(右)と野党党首のマチャド元議員(AP通信)

ベネズエラ政府は23日、先月末の大統領選に立候補した全野党の統一候補ゴンザレス(Edmundo González)氏に対し、最高裁判所で宣誓したうえで証言するよう命じたと明らかにした。

独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。

反抗的なマドゥロ氏は敗北を認めず、ゴンザレス氏と全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員が偽情報を拡散し、暴力と不安を煽っていると主張。証言を拒否すれば逮捕すると脅している。

米国や国連だけでなく、マドゥロ政権と良好な関係を維持してきた中南米諸国も選管が公表したデータの信頼性に異議を唱えている。

ベネズエラの司法長官は23日の記者会見で、ゴンザレス氏が証言に応じず、支持者を煽っていると主張した。

司法当局は今月初め、全野党が軍に対し、マドゥロ氏への忠誠を再考するよう促したことを受け、ゴンザレス氏とマチャド氏に対する犯罪捜査を開始すると発表していた。

捜査がどの程度進んでいるかは不明。ゴンザレス氏とマチャド氏は国家反逆罪を含む複数の罪に問われる可能性がある。

マチャド氏は選挙後、何度か公の場に姿を見せているが、ゴンザレス氏は逮捕される恐れがあるとして、身を隠している。

治安当局による取り締まりで逮捕されたデモ参加者は2000人以上。少なくとも24人がこの取り締まり中に死亡したとされる。警察は逮捕者と死傷者の数を公表していない。

一部の与党議員は2人を逮捕するよう求めているが、当局は今のところ控えている。

米政府は23日、ベネズエラの最高裁がマドゥロ氏の勝利を認定したことを強く非難した。

最高裁は22日、全野党がネット上に公開した集計結果の一部を「偽物」と非難し、マドゥロ氏を勝者と認定した。

米国務省の報道官は記者会見で、「ゴンザレス氏が最多得票を得たという圧倒的な証拠がある以上、最高裁の決定は信憑性に欠ける」と指摘。「マドゥロ氏の敗北を認めない試みは現在進行中の危機を悪化させるだけだ」と断じた。

国連のグテレス(António Guterres)事務総長も23日、ベネズエラ政府に透明性のある行動を求め、治安当局によるデモ取り締まりに深刻な懸念を表明した。

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

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