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ベネズエラ、政治犯300人釈放へ、国会議長が発表

地元の人権団体は400人以上が政治的理由で拘束されていると推計している。
2026年5月18日/ベネズエラ、首都カラカス、国旗を掲げる男性と治安部隊(AP通信)

ベネズエラ議会は19日、政治的理由で拘束されていた人々を含む約300人を今週中に釈放する方針を明らかにした。ロドリゲス(Jorge Rodriguez)国会議長は首都カラカスの国会で明らかにしてもので、国内外から人権侵害への批判が強まる中での措置となる。

ロドリゲス氏は釈放について、「誰かに見返りを求めるものではない」と説明した一方、釈放者や法的根拠には言及しなかった。政府は従来、国内に「政治犯」は存在せず、拘束者はいずれも犯罪行為に関与したとしてきた。しかし、地元の人権団体は400人以上が政治的理由で拘束されていると推計している。

今回の発表の背景には、拘束中に死亡した男性(51歳)を巡る問題がある。この男性は2025年1月に拘束され、政府は昨年7月に死亡していたことを今年になって公表した。家族には長期間知らされず、82歳の母親は息子の安否確認のため各地の拘置施設や裁判所を回り続けていた。政府は男性が呼吸不全によって死亡したと説明しているが、対応の遅れや情報隠しに対して強い批判が起きている。

母親は息子の死亡を知ってから10日後に亡くなった。カラカスでは18日、学生らによる抗議デモが行われ、「彼らは死んだのではなく殺された」と政府を非難する声が上がった。人権団体や野党勢力は政治犯の扱いが非人道的だとして独立調査を求めている。

ベネズエラでは今年1月、米軍による軍事介入で前大統領が排除され、現在はロドリゲス暫定政権が統治を担っている。トランプ政権は政治犯全員の釈放実現を目指す考えを示しており、今回の300人釈放も国際的圧力を意識した対応との見方が広がっている。ただ、釈放の規模や対象者の選定を巡っては「限定的かつ遅すぎる」との批判も根強く、ベネズエラの人権状況改善につながるかは不透明である。

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