ベネズエラ暫定大統領、トランプ氏の「51番目の州」発言を拒否
ロドリゲス氏はオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で記者団に対し、「我々は自らの統合、主権、独立、歴史を守り続ける」と述べ、「ベネズエラは植民地ではなく、自由な国家だ」と語った。
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ベネズエラのロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領は11日、ベネズエラが米国の「51番目の州」になる可能性に言及したトランプ(Donald Trump)米大統領の発言を否定し、自国の主権と領土保全を守る姿勢を改めて強調した。ロドリゲス氏はオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で記者団に対し、「我々は自らの統合、主権、独立、歴史を守り続ける」と述べ、「ベネズエラは植民地ではなく、自由な国家だ」と語った。
問題の発言はトランプ氏がFOXニュースのインタビューで「ベネズエラを米国の51番目の州にすることを真剣に検討している」と述べたことに端を発する。トランプ氏は以前にもカナダを「51番目の州」にする可能性に言及し、今回の発言も同様に波紋を広げた。ホワイトハウスは公式な説明を避けているが、報道官は11日、「トランプ大統領は現状維持を受け入れない人物だ」と述べ、ロドリゲス暫定政権との協力関係を評価した。
ロドリゲス氏が発言した場は、ベネズエラと隣国ガイアナの間で長年続く「エセキボ地域」を巡る領有権争いの審理の最終日であった。エセキボ地域は約16万平方キロメートルに及び、ガイアナ国土の約3分の2を占める。金やダイヤモンド、木材など豊富な天然資源に加え、近海では大規模油田が発見されている。現在は米石油大手エクソンモービルなどが開発を進め、日量約90万バレルの原油を生産している。これはベネズエラの原油生産量に匹敵する規模であり、資源を巡る対立が一層激化している。
この領土問題の起源は19世紀末にさかのぼる。1899年、イギリス、ロシア、米国の仲裁人による裁定で、エセキボ川を境界とする線引きが行われ、現在のガイアナ側に有利な形で決着した。しかし、ベネズエラはこの裁定を不当だと主張し、1966年に締結された「ガイアナ・ベネズエラ国境紛争に関する協定」によって問題は未解決状態に戻ったと訴えている。ガイアナ側は2018年、ICJに提訴し、1899年裁定の有効性確認を求めた。
ロドリゲス氏はICJで、「この問題は司法判断ではなく政治交渉によって解決されるべきだ」と主張した。さらに、ガイアナ政府が裁判所に持ち込んだ背景には、2015年の大規模油田発見があると指摘し、「石油発見と司法化は偶然ではない」と批判した。ベネズエラ側はICJへの参加が裁判所の管轄権を認めたことにはならないとの立場を維持している。
両国関係は2023年以降、急速に悪化した。当時のマドゥロ(Nicolás Maduro)大統領はエセキボ地域をベネズエラの州に編入する是非を問う国民投票を実施し、武力併合の可能性も示唆した。その後、2026年1月に米軍の作戦でマドゥロ氏が拘束され、ニューヨークへ移送されるという異例の事態が発生した。米国は麻薬取引関連容疑での摘発だとしているが、中南米諸国や国際法専門家からは「主権侵害」との批判も出ている。現在は副大統領だったロドリゲス氏が暫定大統領を務めている。
一方で、米国とベネズエラの関係は一定の改善もみせている。ロドリゲス氏は記者団に対し、「両国政府は協力と相互理解に向けて対話を続けている」と説明した。米国は対ベネズエラ制裁を一部緩和し、ベネズエラ産原油の取引再開を容認している。だが、トランプ氏の「51番目の州」発言は、こうした外交関係に新たな不確実性をもたらした。ICJによる最終判断には数カ月を要するとみられるが、資源と主権を巡る対立は今後も地域情勢の火種となりそうだ。
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