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イスラム国がシリア政府軍を襲撃、兵士2人死亡 北東部ハサカ

国営シリア・アラブ通信(SANA)は武装集団が軍用バスを襲撃し、国軍兵士2人が死亡、複数人が負傷したと報じていた。
シリア、首都ダマスカス(Getty Images/AFP通信)

過激派組織「イスラム国(IS)」は12日、シリア政府軍を襲撃し、兵士を殺害したとする犯行声明を発表した。ロイター通信によると、ISが暫定政権の軍に対する攻撃を公式に認めたのは今年2月以来で、アサド政権崩壊後も依然としてISが活動能力を維持している実態が浮き彫りとなった。

攻撃は11日、北東部ハサカの農村地帯で発生した。国営シリア・アラブ通信(SANA)は武装集団が軍用バスを襲撃し、国軍兵士2人が死亡、複数人が負傷したと報じていた。当初、当局は犯行主体を明らかにしていなかったが、その後、スンニ派のアマーク(Aamaq)通信を通じて犯行声明が出され、ISは「背教者のシリア軍兵士6人を殺傷した」と主張した。

今回の攻撃はシャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領が国内統治の安定化を進める中で起きた。シャラア氏は2024年末、独裁者であるアサド(Bashar al-Assad)前大統領を打倒し、新政権を樹立した。しかし、各地では依然として武装勢力や宗派対立が残り、治安回復が大きな課題となっている。特に東部や砂漠地帯ではIS残党が潜伏を続け、散発的な襲撃や爆破事件を繰り返している。

ISは2014年ごろ、シリアとイラクにまたがる広大な地域を支配し、国家樹立を宣言した。しかし、その後は米国主導の有志連合やシリア政府軍、クルド系勢力などの攻勢を受け、支配地域を失った。それでも地下組織化したISは完全には壊滅せず、近年もシリア各地で小規模な襲撃を続けている。欧米当局はISが組織再建を図っている可能性があると警戒を強めている。

特にシリア北東部ではクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」がIS戦闘員を多数収容しているが、今年1月には収容施設を巡る戦闘や脱走事件も発生した。米当局は当時、約200人のIS戦闘員が一時脱走したと明らかにし、治安悪化への懸念が広がっていた。

今回の事件は新政権発足後もシリア国内の安定化が道半ばであることを示す形となった。政府は各地で武装勢力掃討を進めているが、長年の内戦で崩壊した治安体制の再建には時間がかかるとみられている。国際社会ではISの再拡大を防ぐためにも、シリア情勢の安定化と復興支援が不可欠だとの声が強まっている。

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