コロンビア内戦、過去10年で最悪の人道危機=赤十字
コロンビアでは2016年の和平合意によって内戦終結への期待が高まった。
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赤十字国際委員会(ICRC)は12日、南米コロンビアで2025年に発生した武力衝突が、この10年間で最も深刻な人道危機を引き起こしたとする報告書を公表した。それによると、武装勢力同士や政府軍との戦闘激化によって民間人への被害が急増し、多数の市民が避難を余儀なくされたほか、子どもの徴兵や地雷被害も拡大している。和平合意から約10年を迎える中で、コロンビアの治安悪化が改めて浮き彫りとなった。
ICRCによると、2025年には全国で少なくとも382件の人道危機事例が確認された。これは前年を大きく上回る数字で、2016年に政府と左翼ゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC)」が和平合意を結んで以降、最悪の水準だという。特に地方では麻薬密売ルートや鉱山資源を巡る武装勢力間の争いが激化し、住民が戦闘に巻き込まれるケースが相次いでいる。
報告では、約7万1000人が武力衝突によって避難を余儀なくされた。また、武装勢力による道路封鎖や地雷敷設などにより、約12万人が「移動制限状態」に置かれ、医療や食料へのアクセスを断たれた地域もあった。ICRCコロンビア代表は、「民間人が紛争の最大の犠牲者になっている」と警告している。
特に深刻なのが子どもへの影響である。ICRCは2025年に少なくとも463人の未成年者が武装勢力に徴兵されたと報告した。これは過去8年間で最多となる。農村部では貧困や教育機会の不足から、若者が武装勢力に取り込まれやすい状況が続いている。政府は対策強化を掲げているものの、地方では行政機能が十分に及ばず、武装勢力が支配権を持つ地域も少なくない。
コロンビアでは2016年の和平合意によって内戦終結への期待が高まった。しかし、FARCの離脱組織や左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」、悪名高い麻薬カルテル「ガルフ・クラン(クラン・デル・ゴルフォ、CDG)」などが各地で活動を継続している。左派のペトロ(Gustavo Petro)大統領は就任後、「全面和平」政策を掲げ、複数の武装勢力との停戦協議を進めてきたが、交渉は難航している。ELNとの停戦は崩壊し、政府軍との戦闘が激化している地域もある。
さらに、違法コカ栽培や金の違法採掘を巡る利権争いも暴力拡大の背景にある。国連によると、コロンビアは依然として世界最大のコカイン生産国であり、武装勢力の主要な資金源となっている。ICRCは和平交渉だけではなく、地方インフラ整備や教育、雇用創出などを通じた長期的な国家再建が不可欠だと訴えている。
