◎宣言により、警察は軍の支援を受け、令状なしで家宅捜索を行ったり、犯罪に関与した個人を拘束できるようになる。
2022年12月14日/ペルー、南部アレキパの通り、警察と治安部隊(Fredy Salcedo/AP通信)

ペルー政府は14日、カスティジョ(Pedro Castillo)前大統領の罷免に抗議するデモが暴動に発展したことを受け、非常事態を宣言した。

対象は全国、期間は30日間の予定。

国防省は声明で、「破壊行為や暴力は許されず、一部の暴徒が高速道路を封鎖している」と非難。軍と警察による取り締まりを強化すると宣言した。

宣言により、警察は軍の支援を受け、令状なしで家宅捜索を行ったり、犯罪に関与した個人を拘束できるようになる。

報道によると、政府は夜間外出禁止令も発令するかどうか検討しているという。

政府報道官は非常事態宣言について、「閣議で決めた」と説明している。

カスティジョ氏は7日、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置するとテレビ演説で発表したものの、議会の弾劾投票で罷免され、同日遅くに反逆罪で逮捕された。

カスティジョ氏の支持者は議会の解体とカスティジョ氏の解放を求めている。

カスティジョ氏の罷免後、副大統領のルアルテ(Dina Boluarte)氏が宣誓し、大統領に就任した。

ボルアルテ氏はデモ隊に落ち着くよう繰り返し呼びかけてきたが、暴動を抑えることはできなかった。

ボルアルテ氏は11日、2026年7月に予定されている総選挙を2024年に前倒しする意向を示し、さらに14日には2023年12月に実施すると表明した。

一方、地元メディアによると、逮捕されたカスティジョ氏は裁判所の審理を拒否したため、判事は日程を延期したという。検察は議会解散宣言が反逆罪に当たると立証する必要がある。

ボルアルテ氏は14日の記者会見で、「冷静になる必要がある」と市民に呼びかけた。

またボルアルテ氏は1980年代から90年代の紛争に言及し、「あの時代に戻るつもりはなく、誰も戻りたいと思っていない」と強調した。

当時の政府は反政府勢力の自爆テロや暗殺に厳しく反撃した。この紛争による死者および行方不明者は7万人と推定されている。

デモ隊は首都リマや周辺都市の高速道路を封鎖し、カスティジョ氏の解放、ボルアルテ氏の辞任、議会の解散、そして即時の総選挙を求めている。

報道によると、南部アンダワイラスなどの抗議デモで民間人少なくとも7人が死亡したという。

この7人はいずれも南部の貧しい地域出身で、カスティジョ氏の政策を強く支持していたと伝えられている。死因と身元は明らかにされていない。

AP通信によると、カスティジョ氏の弁護士は米州機構(OAS)の人権委員会に仲裁を要請したという。この委員会は中南米の人権侵害疑惑を調査し、場合によっては訴訟も行う。

デモ隊は先週、南部の警察署を焼き払い、南部アレキパにある国際空港を一時的に占領した。

またマチュピチュに向かう観光客向けの列車は運行停止を余儀なくされ、南北アメリカ大陸を結ぶパンアメリカンハイウェイの一部も封鎖され、行き場を失ったトラック数千台が数日間立ち往生した。

政府報道官は13日、この暴動に関与した市民は全国で8000人に満たないと述べた。

ボルアルテ氏は14日の会見で、「警察官200人が取り締まり中に負傷し、そのうち少なくとも2人が医療機関で治療を受けている」と明らかにした。

またボルアルテ氏は負傷した警察官の話を引用し、「特定のグループが暴動を扇動している」と述べ、いかなる理由があろうと暴力は許されないと非難した。

報道によると、リマやアレキパなどの都市部には陸軍の兵士が配備されたという。

地元メディアは警察筋の話を引用し、「市街地から離れた農村部の安全確保には時間がかかるかもしれない」と報じている。

2022年12月14日/ペルー、南部アレキパ、陸軍の兵士(Jose Sotomayor/AP通信)
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