SHARE:

イスラエル軍、レバノン南部のヒズボラ地下インフラを破壊

対象となった施設はレバノン南部のイスラエル国境から数十キロの地点にある全長約200メートルの地下施設で、武器の保管や戦闘員の活動拠点として利用されていたという。
2026年3月6日/レバノン、首都ベイルート南部、イスラエル軍の空爆(ロイター通信)

イスラエル政府は28日、レバノン南部で親イラン武装組織ヒズボラが使用していた地下軍事施設を破壊したと発表した。対象となった施設はレバノン南部のイスラエル国境から数十キロの地点にある全長約200メートルの地下施設で、武器の保管や戦闘員の活動拠点として利用されていたという。作戦は国防軍(IDF)が実施し、事前に米国に通知していたことも明らかにした。

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相とカッツ(Israel Katz)国防相は共同声明で、今回の作戦はイスラエル北部住民の安全確保と、国境地帯からヒズボラの軍事的脅威を排除するために必要な措置だったと説明した。イスラエル側は地下施設の存在自体が国連安全保障理事会決議1701に反するものであり、ヒズボラが停戦合意に違反して軍事力を維持している証拠だと主張している。

今回の作戦は、米国の仲介でイスラエルとレバノンが新たな安全保障枠組みに合意した直後に実施された。同枠組みでは、レバノン軍が南部地域の治安維持を担い、イスラエル軍が段階的に一部地域から撤収する一方、ヒズボラの武装解除や軍事拠点の撤去が進められることになっている。しかし、ヒズボラは武装解除を拒否、イスラエル軍も依然として南レバノンに部隊を駐留させている。

イスラエル軍は近年、ヒズボラが南レバノン各地に地下トンネル網や武器庫を整備し、国境地帯での攻撃能力を強化していると指摘してきた。今回破壊された施設もその一部とみられ、イスラエル軍は地下施設の除去によって将来的な越境攻撃の能力を低下させる狙いがあるとしている。

一方、レバノン政府とヒズボラはイスラエル軍による越境作戦や空爆こそが停戦合意に反すると批判している。双方は互いに停戦違反を非難し合い、散発的な攻撃が続く。イスラエル軍は28日、南部ナバティエ地区でロケット発射装置を攻撃し、ヒズボラ戦闘員を殺害したと明らかにした。

イスラエルとヒズボラの対立は2023年以降の中東情勢の悪化を受けて激化し、多数の死傷者と避難民を生み出した。米国主導の停戦合意によって全面戦争は回避されているものの、双方とも相手の軍事活動に対して即座に武力で対抗する姿勢を崩していない。地下施設の破壊作戦は停戦下でも軍事的緊張が依然として高い水準にあることを改めて示す形となった。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします