◎フジモリ氏は在任中、軍の特殊部隊が実行した2つの虐殺の責任を問われ、25年の刑に服している。
2017年11月25日/ペルー、首都リマの裁判所、フジモリ元大統領(Mariana Bazo/ロイター通信)

米州人権裁判所(IACHR)は8日、ペルーのフジモリ元大統領の赦免を認めた憲法裁判所の判決に異議を唱え、大統領恩赦による釈放を認めないよう政府に要請した。

憲法裁判所は先月、殺人と汚職の罪で禁固25年の実刑判決を受けたフジモリ氏を赦免すると発表した。これは、2017年のクチンスキ大統領(当時)がフジモリ氏に与えた恩赦を復活させたものである。

IACHRは8日の決議で、3月17日に「人道的」な理由でフジモリ氏の釈放を認めると裁定した憲法裁判所の決定を覆した。

フジモリ氏は在任中、軍の特殊部隊が実行した2つの虐殺の責任を問われ、25年の刑に服している。

1991年と1992年に実行された「反テロリスト作戦」と呼ばれる作戦で、子供を含む反対派勢力25人が殺された。

ペルーの憲法裁判所は先月、健康上の懸念によりフジモリ氏の恩赦を復活させたが、IACHRはこれにすぐ異議を唱え、判決を一度覆していた。

IACHRは先月下旬、ペルー政府に対し、この問題の検討が終わるまでフジモリ氏の釈放を控えるよう命じた。8日の決議で出所の道はひとまず閉ざされた。

IACHRは決議の中で、「ペルーは2017年12月24日にフジモリ氏に与えた人道的理由による恩赦の効果を復活させる、2022年3月17日の憲法裁判所が下した判決の実施を控えるべきである」と述べている。

ペルー政府はIACHRの決定に従う意向を示している。

先月の憲法裁判所の判決後、首都リマでは多くの抗議者が街頭に繰り出し、フジモリ氏に刑期を全うさせるよう政府に求めた。

またデモ隊は、フジモリ氏が自分の罪を認めず、被害者に謝罪していないことを強く非難した。

フジモリ氏の家族は健康上の理由で釈放するよう何度か嘆願書を提出したが、すべて却下されている。

大統領選の決選投票で3度敗れている娘のケイコ・フジモリ氏は昨年、当選すれば父親を赦免すると述べ、物議を醸していた。

ケイコ氏は昨年6月の大統領選で急進左派のカスティジョ氏に敗れた。またケイコ氏は2011年と2016年の大統領選で違法取引に関与したとして起訴されている。

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