米インフレ指標を前に中南米市場まちまち、中東情勢に警戒感
中南米市場は米金融政策、中東情勢、原油価格という複数の外部要因をにらみながら、神経質な値動きを続けることになりそうだ。
.jpg)
8月10日の中南米金融市場は方向感に乏しい展開となった。投資家が米国のインフレ指標の発表を控え、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を見極めようとする一方、中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が上昇し、インフレ再燃への警戒が強まったためだ。
MSCIの中南米株価指数は0.23%下落し、7営業日連続の下落となった。中南米通貨指数も0.21%低下した。国別ではメキシコ株が0.59%下落し、域内で最も軟調だった。メキシコ・ペソも0.1%下落した。欧州連合(EU)が韓国とメキシコで生産されるPET樹脂の原料「テレフタル酸」に対して域内産業保護を目的とした関税を課したことも、メキシコ市場の重しとなった。
コロンビアでは10日に発生した地震が市場心理を圧迫した。10日時点で100人以上が死亡し、広範囲で建物被害が確認された。主要株価指数は取引序盤に下落したものの、その後は持ち直した。一方、ドル建て債券の一部は下落した。コロンビア・ペソは逆に0.6%上昇し、域内通貨の中でも大きな上昇率となった。
コロンビアでは先週就任した右派のデラエスプリエジャ(Abelardo De La Espriella)大統領が麻薬カルテルとの戦いや緊縮策を掲げ、経済への信頼回復を目指している。米政府は同政権に10億ドルの安全保障支援を行う計画で、前政権との緊張関係から米コロンビア関係が転換する可能性も注目される。ブラジルではボベスパ指数が0.1%下落、レアルも0.6%下落した。一方、アルゼンチン株は1.1%上昇し、域内で最も好調だった。
市場の焦点は今後、米国のインフレ指標と中東情勢に移る。イランが米国からの要求を受け入れない限りホルムズ海峡を再開しない姿勢を示したことで、原油価格は上昇した。原油高は中南米の資源輸出国にとって追い風となる一方、世界的なインフレ圧力を高め、FRBの利下げや金融緩和を遅らせる要因にもなり得る。
ただ、先週発表された米雇用統計が弱かったことで、9月のFRB会合で利上げが行われる可能性は低下している。市場では、今回のインフレ指標が予想を大幅に上回らない限り、利上げ方向に政策判断が傾く可能性は低いとの見方が出ている。中南米市場は米金融政策、中東情勢、原油価格という複数の外部要因をにらみながら、神経質な値動きを続けることになりそうだ。
