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ブラジル先住民族の「火入れ」で山火事対策、行政と連携

北部トカンチンス州の先住民居住地では先月、乾季の本格化を前に、先住民と環境当局が共同で計画的な火入れを実施した。
2026年5月19日/ブラジル、北部トカンチンス州、野焼きの様子(AP通信)

ブラジル中部から北部に広がる熱帯サバンナ「セラード(草原・低木林)」で、先住民の伝統的な火入れ技術を活用した山火事対策が注目を集めている。長年にわたり火の使用を危険視してきた行政機関は近年、先住民の知識と科学的手法を組み合わせることで、大規模火災の発生を抑える新たな管理手法へと方針を転換している。

北部トカンチンス州の先住民居住地では先月、乾季の本格化を前に、先住民と環境当局が共同で計画的な火入れを実施した。住民たちは伝統的に用いられてきた方法で草地に火を放ち、当局が衛星データやヘリコプターを活用して燃焼区域を管理する。こうして低強度の火を事前に入れることで可燃物となる草木を減らし、大規模火災の延焼を防ぐ狙いがある。

セラードでは火災が生態系の一部を形成してきた歴史がある。雷による自然発火も多く、一部の植物は火災に適応して進化してきた。しかし近年は農地開発や気候変動の影響で乾燥が進み、従来よりも大規模で破壊的な火災が増加している。専門家は火を完全に排除する「ゼロ火災政策」では草木が蓄積し、かえって激しい火災を招く危険性があると指摘する。

中央政府は2014年から先住民コミュニティとの協力を本格化させてきた。環境保全機関IBAMA(環境・再生可能天然資源院)は、先住民は地域の気候や植生を熟知しており、「最良の教師」と評価する。現在では一部の先住民が消防隊員として雇用され、火災管理に携わっている。

一方で、先住民は依然として誤解や偏見にも直面している。大規模火災が発生すると、先住民による火入れが原因であるかのような情報がSNS上で拡散されることがある。しかし実際には、火入れは綿密な計画と監視の下で行われており、無秩序な放火とは性質が異なる。先住民の指導者は祖先の時代から森を守ってきたと訴えている。

今年はエルニーニョ現象による高温と干ばつの長期化が懸念され、ブラジル政府は全国で4000人以上の消防要員を配置して警戒を強めている。専門家はセラードのような生態系では適切に管理された火入れが環境保全に有効だと強調する。伝統知と科学の融合は気候変動時代の新たな防災モデルとして世界的な関心を集めそうだ。

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