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米国のブラジルギャング「テロ組織」指定、政権への圧力に

専門家の間では、この措置が単なる治安対策ではなく、今年10月に予定されるブラジル大統領選挙への影響を狙った政治的判断との見方が広がっている。
2026年5月29日/ブラジル、リオデジャネイロ警察の記者会見(AP通信)

米国政府がブラジルの犯罪組織「PCC(首都第一コマンド)」と「CV(赤コマンド)」を外国テロ組織に指定したことが、ブラジル国内で大きな政治論争を引き起こしている。専門家の間では、この措置が単なる治安対策ではなく、今年10月に予定されるブラジル大統領選挙への影響を狙った政治的判断との見方が広がっている。

今回の指定は先月末、トランプ政権が進める中南米の犯罪組織対策の一環として発表された。しかし、PCCとCVはメキシコ系麻薬カルテルとは異なり、米国内で直接的な活動実績がほとんど確認されていない。そのため、なぜこのタイミングでテロ指定が行われたのかについて疑問の声が上がっている。

政治的背景として注目されているのが、ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の長男でフラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員の存在だ。同氏は大統領選で現職のルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領への挑戦を目指しており、発表直前にワシントンDCを訪問してトランプ(Donald Trump)大統領らと会談していた。フラビオ氏自身も、米国に対して両組織のテロ指定を要請したことを認めている。

専門家らは、この措置によってフラビオ氏の「犯罪に厳しい政治家」というイメージが強化される一方、ルラ政権の治安政策への批判が高まる可能性があると指摘する。米州専門誌「アメリカズ・クォータリー」は今回の決定について「主な動機は政治であり、ルラ政権への圧力と選挙を前にしたフラビオ氏への支援だ」と分析している。

これに対しルラ氏は強く反発し、米国の判断を主権への干渉だと批判した。政府関係者もテロ指定が将来的な経済制裁や外国からの介入の口実になることを警戒している。一方で、ブラジル当局は近年、両組織に対する資金洗浄捜査や資産差し押さえを進め、国内の法制度で十分に対応できると主張している。

治安問題はブラジル国民の最大の関心事の一つであり、大統領選でも主要争点となる見通しだ。今回の米国の決定は犯罪対策をめぐる国際協力の枠を超え、ブラジル政治の行方を左右する新たな外交・選挙問題として波紋を広げている。

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