◎首都キトのデモ隊は主要幹線道路を封鎖し、治安部隊の催涙ガス弾を投げ返し、投石やスリングショットで反撃を試みた。
2022年6月24日/エクアドル、首都キト、燃料価格の高騰に抗議するデモ(Dolores Ochoa/AP通信)

エクアドルラソ(Guillermo Lasso)大統領は24日、全国の抗議デモを率いる先住民族グループのリーダーがクーデターを企てていると警告し、暴力には法的手段で対応すると表明した。

ラソ氏は24日に放送されたテレビ演説で、「先住民族連合のリーダーは政府を転覆させようとしている」と語った。

またラソ氏は、13日目に入った抗議デモを終わらせるための話し合いを行う用意があるとデモ隊に呼びかけた。

先住民族連合は「ガソリン価格の引き下げ(1ガロン45セント下げ)」「農産物の価格統制(上限設定)」「教育予算の増額」を要求している。

現地メディアによると、中北部の6つの州の暴動が特に激しく、負傷者も出ているという。

先住民族連合は24日、首都キトの議会議事堂近くで抗議していた市民がペレット銃(空気銃)で撃たれ死亡したと明らかにした。また、複数の州で少なくとも100人が負傷し、その多くが入院したと報告している。

一部の野党議員はラソ氏の解任を求める手続きを開始したが、与党を含む多くの党が反対を表明したため、不信任決議案が可決される可能性は低い。

ラソ氏を解任するためには議員92人の支持を得る必要があるが、不信任を提案した野党の議席は47に過ぎない。

キトのデモ隊は主要幹線道路を封鎖し、治安部隊の催涙ガス弾を投げ返し、投石やスリングショットで反撃を試みた。

キトの機能はほぼ停止状態で、市民は食料と燃料の購入に苦労している。大統領府報道官によると、食料を積んだ600台近くのトラックがキト郊外で立ち往生しているという。

デモ隊は市内を徘徊し、車両や市民を攻撃し、企業を閉鎖に追い込み、小売店に押し入った。

ラソ氏は「連合のリーダーに騙されてキトに連れてこられた市民は今すぐ自宅に戻ってほしい」と呼びかけた。

またラソ氏は、市民、警察、ジャーナリストが攻撃の対象になっていると非難し、関係機関が調査を開始したと説明した。

国際NGOヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は声明で、「23日にキトで抗議デモに関する調査・検証作業を行っていたスタッフ4人が攻撃を受け、強盗に襲われた」と述べた。

HRWは暴力を非難し、対話を呼びかけるとツイートしている。

この事態を受け、米国、ドイツ、イギリス、カナダなどの複数の大使館が「国民の基本的権利が侵害される恐れがある」と公式声明を発表した。これらの欧米諸国は当事者に対話で解決策を模索するよう呼び掛けている。

2022年6月24日/エクアドル、首都キト、デモ隊の攻撃に備える警察当局者(Dolores Ochoa/AP通信)
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