◎新憲法は▽賛成44.3%▽反対55.7%で否決された。
チリ、首都サンティアゴ、憲法改正に反対する人々(Matias Basualdo/AP通信)

南米チリの選挙管理当局が18日、憲法改正の是非を問う国民投票の結果を公表した。

有権者は急伸左派のボリッチ政権が大急ぎで起草した新憲法より、1973~90年まで政権を握った故ピノチェト(Augusto Pinochet)元大統領時代の憲法を支持したようだ。

選管によると、新憲法は▽賛成44.3%▽反対55.7%で否決された。

憲法改正を求める4年前のデモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「ボリッチが書いた憲法は支持できない」と語った。

1年前、有権者はボリッチ(Gabriel Boric)大統領がわずか数カ月で起草した新憲法を▽賛成38%▽反対62%で否決。SNSにはボリッチ氏を批判するコメントが殺到した。

ボリッチ氏と左派政党はこの憲法を「世界で最も進歩的な憲法」と呼ぶ一方、多くの専門家が懸念を表明していた。

新憲法は住宅で生活する権利や男女同一労働賃金などを明記。さらに男女の代議員数を均等にするという世界初の条文も組み込まれた。

反対派は左派政権が環境と男女平等を意識し過ぎていると批判。さらに「条文が長い」「無駄が多い」「明確さに欠ける」といった批判の声が相次いだ。

地元メディアによると、否決を祝う街頭デモは行わなかったという。あるX(旧ツイッター)ユーザーはこう投稿している。「ボリッチは憲法改正より国政に力を入れるべきだ」

ボリッチ氏が提出した急進的な法案の多くが国会で多数派を占める野党によって阻止されている。

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