◎急進左派のボリッチ氏は昨年末の選挙で勝利し、3月に就任した。
2022年3月11日/チリ、中部パルパライソ、ボリッチ大統領とファーストレディ(Esteban Felix/AP通信)

チリのボリッチ(Gabriel Boric)大統領は22日、左翼から古臭いと嘲笑されていたファーストレディの役割と呼び名を見直すと発表した。

急進左派のボリッチ氏は昨年末の選挙で勝利し、3月に就任した。

政府のプレスリリースによると、ファーストレディは22日から「大統領府の社会文化コーディネーター」と呼ばれるようになるという。

ボリッチ政権は21日、一部の左派から「ファーストレディ内閣」とバカにされていた組織と役職(大統領夫人報道官など)を見直し、22日から夫人の名を冠して「カラマノス(Irina Karamanos)内閣」に変更すると宣言していた。

しかし、野党議員はこの発表に懸念を表明し、「大統領は政府を私物化しようとしている」と非難した。

大統領府の報道官は22日、ファーストレディの組織は22日から社会文化コーディネーターと呼ばれるようになると述べ、カラマノス内閣という呼称は使用しないとした。

また報道官は、22日午前に発信したプレスリリースからカラマノス内閣という文言を削除したと説明した。

カラマノス夫人はツイッターに、「私たちの最大の関心は、大統領夫人の役割を変革するというコミットメントを前進させることです」と投稿している。

ボリッチ氏とカラマノス夫人は選挙期間中から大統領夫人の役割を見直したいと公言していた。

チリの経済は左派政権発足後も比較的堅調に推移しているが、所得格差が深刻な社会問題になっている。国連によると、人口の約1%が国の富の25%を保有しているという。

ボリッチ氏は富裕層に課税し、その税収を医療、教育、国民皆年金制度の財源に充てるよう議会に要求し、最低賃金の引き上げや女性の雇用創出も推進している。

しかし、ボリッチ氏を支持する中道左派政党の議席は他の左派政党を加えても過半数に達しておらず、同氏は厳しい政権運営を強いられている。

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