チリ大統領、就任後初の教書演説、支持率回復目指す
就任から約3カ月を迎えたカスト政権にとって、今回打ち出した立法計画をどこまで実現できるかが今後の政権運営を左右する。
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チリのカスト(José Antonio Kast)大統領は6月1日、就任後初となる教書演説を行い、犯罪対策や財政支出の削減、経済成長の促進を柱とする包括的な立法計画を発表した。3月の就任直後には高い支持を集めたものの、閣僚人事を巡る混乱や燃料価格の高騰などを背景に支持率が低下しており、今回の演説は政権運営の立て直しを図る重要な機会となった。
右派政治家として知られるカスト氏は、治安回復と不法移民対策を選挙公約の中心に掲げて当選した。演説では、警察権限の強化や国境管理の厳格化に加え、犯罪歴のある人物に対する社会給付の一部見直しを提案した。また、組織犯罪や麻薬取引への対策を強化し、市民が安心して暮らせる社会の実現を目指す考えを強調した。
経済政策では、政府支出の削減や行政手続きの簡素化を進める方針を示した。特に中小企業支援や鉱業分野の近代化に力を入れる考えで、銅やリチウムなど豊富な鉱物資源を抱えるチリの競争力向上を目指す。さらに、電気料金制度の改革や官僚機構の効率化を進め、投資促進と雇用創出につなげたい考えだ。これらの政策は、4月に議会へ提出した経済改革法案と連動する形で進められる見通しである。
しかし、政権を取り巻く環境は厳しい。地元メディアの調査によると、カスト氏の支持率は就任当初の57%から38%まで低下した。背景には、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇による燃料費負担の増加や、閣僚の相次ぐ更迭がある。政権は治安改善を最優先課題としてきたが、有権者の期待に十分応えられていないとの指摘も出ている。
演説が行われたバルパライソでは、政権への抗議デモも行われた。参加者たちは社会保障政策や経済改革への懸念を訴え、カスト政権の保守的な政策路線に反発した。一方で支持者は、長年の課題である治安悪化や不法移民問題に対し、強力な対応が必要だと主張している。
議会では与党勢力が単独過半数を持たないため、法案成立には野党との協力が不可欠となる。就任から約3カ月を迎えたカスト政権にとって、今回打ち出した立法計画をどこまで実現できるかが今後の政権運営を左右する。支持率回復を目指すカスト氏にとって、治安改善と経済再生の成果を具体的に示せるかが最大の課題となっている。
