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EU、新たな移民政策で基本合意、域外に収容施設設置へ

欧州委員会、欧州理事会、欧州議会の三者協議でまとまったもので、近年続く移民問題への対応を強化する狙いがある。
2026年5月27日/フランス、北部ダンケルク近郊の移民キャンプ(AP通信)

欧州連合(EU)は2日、不法滞在者や難民申請が却下された移民の送還を加速させるとともに、EU域外に収容施設を設置できるようにする新たな移民政策で基本合意した。欧州委員会、欧州理事会、欧州議会の三者協議でまとまったもので、近年続く移民問題への対応を強化する狙いがある。一方で、人権団体からは「移民の権利を大きく後退させる」との批判が強まっている。

新制度では、EU加盟国が第三国との二国間協定を通じて、送還対象者を一時的に収容する「リターンハブ(送還拠点)」を域外に設置できるようになる。EUによると、現在、EU域内で退去命令を受けた移民のうち実際に送還される割合は3割未満にとどまっており、制度改革によって送還手続きの迅速化と実効性向上を図る考えだ。

すでにドイツ、オーストリア、オランダ、デンマーク、ギリシャなどはアフリカ諸国を中心に送還拠点の設置に向けた協議を進めているとされる。イタリアがアルバニアと結んだ移民収容施設の運営モデルが参考になっている。

今回の合意には、送還を拒否したり逃亡の恐れがあると判断された移民に対する拘束措置の強化も含まれる。加盟国当局には捜索や身元確認に関する権限が拡大され、移民管理体制の一層の厳格化が進む見通しだ。EU側は「国際法と基本的人権を尊重した上で、より迅速かつ効果的な送還制度を実現する」と説明している。

しかし、人権団体や支援組織は強く反発している。国際救済委員会(IRC)などは域外施設が法的保護の及びにくい「ブラックボックス」になりかねないと警告。迫害や拷問の危険がある国への送還リスクが高まるほか、長期拘束や家族の分離につながる可能性も指摘している。米国の移民税関捜査局(ICE)による強硬な移民政策になぞらえ、「欧州版ICEの創設だ」と批判する声も上がっている。

背景には、2024年の欧州議会選挙以降、移民抑制を訴える右派・極右勢力が影響力を強めていることがある。加盟国の多くで移民問題が主要な政治課題となる中、EUは国境管理と送還政策の強化にかじを切った形だ。新制度は今後、欧州議会と加盟国による正式承認を経て発効する見通しで、欧州の移民政策は大きな転換点を迎えている。

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