ボルソナロ氏伝記映画の不正疑惑、ブラジル最高裁が捜査資料を公開、大統領選にも影響か
捜査の対象となっているのは、ボルソナロ氏の長男フラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員だ。
.jpg)
ブラジル最高裁のフラビオ・ディノ(Flávio Dino)判事は13日、ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の半生を描く映画「Dark Horse」の資金調達を巡る捜査資料を公開した。映画への資金提供が犯罪組織とつながっていた可能性を指摘したもので、10月4日の大統領選を控えるブラジル政界に新たな波紋を広げている。
捜査の対象となっているのは、ボルソナロ氏の長男フラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員だ。同氏は伝記映画の制作を巡り、経営破綻した銀行「バンコ・マスター」の元経営者ダニエル・ボルカロ(Daniel Vorcaro)被告から多額の資金を受け取ったとして、汚職、マネーロンダリング、脱税の疑いで捜査を受けている。報道によると、映画に関連して動いた資金は6100万レアル(約18億円)に上る。フラビオ氏は不正を否定している。
今回、ディノ判事が公開した決定文では、連邦議会の予算配分やサンパウロ市政府を通じて公的資金を流用する複雑な仕組みが存在した可能性が強まったと指摘された。映画制作会社や関係先には連邦警察による捜索も入り、ボルソナロ前政権で閣僚を務めたマリオ・フリアス(Mário Frias)下院議員も捜査対象となっている。フリアス氏は映画と関係する非営利団体に約200万レアルを送金していたとされるが、不正行為を否定している。
さらに捜査当局は、資金の一部が犯罪組織「PCC(首都第一コマンド)」につながる企業などへ流れた可能性も調べている。PCCはブラジル最大の犯罪組織で、米国は今年、外国テロ組織に指定した。ただし、映画関係者やボルソナロ氏側が犯罪組織と意図的に資金をやり取りしたと確定したわけではなく、捜査による解明が必要となる。
問題は映画の資金疑惑だけにとどまらない。バンコ・マスターを巡っては、ボルカロ被告と政治家や政府関係者、最高裁判事らとの関係が浮上し、最高裁そのものが政治的偏向や汚職疑惑に揺れている。最高裁内部でも判事同士の対立が深まり、連邦警察の人事を巡って異なる判断が示されるなど、司法機関の統治能力そのものが問われる状況となっている。
今回の捜査公開は大統領選にも影響する可能性がある。フラビオ氏は父親の後継者として右派陣営の有力候補となり、ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領との接戦が予想されている。
選挙直前に映画資金と犯罪組織、公的資金を巡る疑惑が表面化したことで、フラビオ氏の政治的信用が損なわれる可能性がある。一方、最高裁側も捜査を巡る政治的中立性を問われており、司法と政治の双方に対する国民の信頼が試される局面となっている。
