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ブラジル最高裁、ボルソナロ前大統領の刑期を短縮する法案差し止め

対象の法案は2022大統領選で敗北した後にクーデターを企てたとして禁錮27年の判決を受けたボルソナロ氏の刑期を約2年に短縮する内容で、4月末に連邦議会が可決・成立させた。
2025年5月4日/ブラジル、首都ブラジリア、支持者に手を振るボルソナロ前大統領(ロイター通信)
ブラジル連邦最高裁のジモラエス(Alexandre de Moraes)判事は9日、クーデター未遂事件で有罪判決を受けたボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の刑期を大幅に短縮する法案について、施行を一時停止する判断を示した。対象の法案は2022大統領選で敗北した後にクーデターを企てたとして禁錮27年の判決を受けたボルソナロ氏の刑期を約2年に短縮する内容で、4月末に連邦議会が可決・成立させた。

ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は1月、この法案が「民主主義秩序を損なう」として拒否権を発動していたが、議会がこれを覆したことで成立した。さらに、2023年1月に発生した連邦議会や大統領府、最高裁への襲撃事件に参加したボルソナロ支持者らの刑も軽減する内容が含まれていた。この襲撃事件では数千人規模の支持者が首都ブラジリアの政府機関を占拠し、国際社会に衝撃を与えた。

今回の判断は複数の政党やブラジル記者協会(ABI)が「法案は憲法に反する」として最高裁に提訴したことを受けたものだ。ジモラエス氏は違憲性を争う二つの訴訟について最高裁の最終判断が下されるまで、法案を公布すべきではないと強調した。これにより、ボルソナロ氏の早期釈放は当面見送られる見通しとなった。

ボルソナロ氏は2022大統領選でルラ氏に敗北した後、選挙制度への不信を繰り返し主張し、支持者らによる抗議デモを後押しした。当局はその後、軍や側近を巻き込んだクーデター計画の存在を捜査し、最高裁は2025年、ボルソナロ氏に禁錮27年3カ月の判決を言い渡した。

現在70歳のボルソナロ氏は健康問題を抱えており、今年3月には肺炎の一種で集中治療室(ICU)に入院。その後、人道的配慮から自宅軟禁措置が認められたが、電子監視装置の装着や通信制限など厳しい条件が課されている。

一方、ボルソナロ氏の弁護団は9日、刑の見直しを求める申し立てを最高裁に提出した。ただ、今回停止された法案に基づく減刑申請はまだ行っていないという。

ブラジルでは10月の大統領選に先立ち、右派と左派の対立が再び激化している。今回の司法判断は民主主義を巡る攻防の新たな局面として、国内政治に大きな影響を与える可能性がある。

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