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ブラジル大統領選、自宅軟禁中の前大統領がAIアバターで選挙戦に参加

ボルソナロ氏は2022大統領選後の暴動事件に関連して実刑判決を受け、公職への立候補資格を失ったほか、司法当局の命令で政治活動や外部との接触を禁じられている。
ブラジルのボルソナロ前大統領(左)と長男のフラビオ・ボルソナロ上院議員(AP通信)

ブラジルで10月に行われる大統領選挙を前に、クーデター未遂裁判で実刑判決が確定し、自宅軟禁中のボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領が、人工知能(AI)で生成した自身のアバターを通じて選挙運動に関与したことが、政治や法曹界で議論を呼んでいる。AI技術の急速な普及により、選挙運動の在り方と選挙法の適用範囲が新たな課題として浮上している。

ボルソナロ氏は2022大統領選後の暴動事件に関連して実刑判決を受け、公職への立候補資格を失ったほか、司法当局の命令で政治活動や外部との接触を禁じられている。保守陣営は先週、同氏の長男であるフラビオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員を党の大統領候補に指名した。

問題となっているのは、フラビオ氏の選挙集会で上映された映像である。映像にはAIで生成されたボルソナロ氏のアバターが登場し、支持者に向けて息子への支持を呼びかけた。

陣営は映像がAIで制作されたことを明示しており、本人ではなく、虚偽の映像であるディープフェイクにも当たらないため、現行法の範囲内だと主張している。

一方、野党や一部の法律専門家は、AIで生成された映像であっても、有権者の投票行動に影響を与える政治的メッセージである以上、司法判断による活動制限を事実上回避する手段になりかねないと批判している。

ブラジルの選挙法は、有権者を欺いたり誤情報を拡散したりする目的で合成映像を利用することを禁じているが、AI利用そのものを禁止しているわけではない。このため、今回のケースが違法に当たるかどうかは司法当局の判断に委ねられている。

高等裁判所の関係者は、AI技術は透明性が確保され、虚偽情報や他者への中傷に利用されない限り、直ちに違法にはならないとの見解を示している。ただ、今回の事例は最高裁がボルソナロ氏本人に科した政治活動制限の実効性を損なう可能性もあり、今後の判断が選挙戦全体に影響を及ぼす可能性がある。

大統領選は現職のルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領とフラビオ氏による争いが軸となる見通しだ。AIを活用した選挙運動が急速に広がる中、技術革新と公正な選挙の両立をどのように図るかが、ブラジルだけでなく各国の民主主義に共通する課題となっている。

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