◎エジソン・レアル・プジョール陸軍将軍、イルケス・バルボサ海軍提督、アントニオ・カルロス・ベルムデス空軍将軍は辞任の理由を明らかにしていない。
3月30日、ブラジルの陸海空軍のトップが揃って辞任し、ボルソナロ政権の新体制に対する懸念を世界と共有した。ボルソナロ大統領はコロナ問題などで対立していた外相と国防相を29日に同時に失い、内閣改造を余儀なくされていた。
先日新国防相に指名されたウォルター・ソウザ・ブラガ・ネット将軍は、30日の午前中に陸海空軍のトップと会談し、その後、3人の辞任が突然発表された。なお、エジソン・レアル・プジョール陸軍将軍、イルケス・バルボサ海軍提督、アントニオ・カルロス・ベルムデス空軍将軍は辞任の理由を明らかにしていない。
サンパウロ州インスペル大学の政治学教授のカルロス・メロ氏は次のように述べている。「辞任した3人はボルソナロ大統領が軍を支配すると懸念し、行動したのかもしれません。元陸軍大尉のボルソナロ大統領はブラジルの軍事独裁政権をしばしば称賛しています。軍の抵抗が今後も続くかどうかは誰にも分かりません」
ブラガ・ネット新国防相は昨日の声明でボルソナロ大統領と同じ考えを持っていることを示した。なお、1964年から1985年までブラジルを支配した軍事独裁政権は、数千から数万人の市民を虐殺したと伝えられている。
ブラガ・ネット新国防相は声明の中で、「軍隊は国の混乱を抑える任務を開始し、国を再編成し、私たちが享受している民主的自由を確保します」と述べた。「1964年のイベント(軍事クーデター)は、ブラジルの軌跡の一部です。私たちはイベントを理解し、祝う必要があります」
2年前の大統領選挙で勝利した保守的なボルソナロ大統領はコロナウイルス、感染予防対策、そして州知事や市長の封鎖制限を軽視し、「ロックダウンは経済により深刻な影響を与える」と主張し続けている。
保健当局にまとめによると、ブラジルの累計感染者数は約1,250万人、累計死亡者は317,000人を超え、3月26日の死亡者は過去最高を更新する3,650人に達した。
地元メディアによると、陸海空軍のトップが大統領との意見の不一致を理由に同時に辞任するのは史上初めてだという。
以前ボルソナロ大統領の政治秘書を務めていたカルロス・アルベルト・サントス・クルス元将軍は今回の辞任について、「武力は冒険に行かない(軍はクーデターを起こさない)」と述べ、「政府は国防トップの変更について、国民に説明しなければならない」と強調した。
軍は1985年の民主化達成以来、政治とは距離を保っていた。
上院の外交委員会を率いるカチア・アブレウ上院議員は声明で、「新国防相は軍の政治への介入は断じてないと国民を落ち着かせるべきだ」と述べた。「私たちは強力な民主主義を確立したと確信しています。軍は国家の一部であり、文民政府と国民は軍を信頼しています」
ボルソナロ大統領は今月初め、コロナウイルスの封鎖制限をめぐる州知事や市長との論争の中で軍隊について初めて言及した。
ボルソナロ大統領は3月19日の記者会見で、「私の軍隊は市民を自宅に押し込んだりしない」と述べ、州政府の封鎖制限を非難した。
国内で活動する政治アナリストのトーマス・トラウマン氏はAP通信の取材に対し、「ボルソナロ大統領は自分を支持する人、やりたいことに文句を言わない人を望んでおり、州政府への脅迫は危険な兆候だと思います」と述べた。「ボルソナロ大統領は兵士を動員して経済活動を再開することができます」
ボルソナロ大統領は30日遅くに官邸の外で支持者に演説したが、3人の辞任については言及しなかった。ボルソナロ大統領は記者から「州政府の封鎖制限についてどう思うか?」と質問を受け、「大方は憲法を尊重しているが、一部の当局者は憲法の範囲外でプレーしている」と述べた。
最高裁判所は先日、ボルソナロ大統領のライバル、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ元大統領の2つの汚職の有罪判決を無効にし、2022年の大統領選挙への道を開いた。
専門家は、「コロナ危機で支持率を落としているボルソナロ大統領は、ダシルバ元大統領の出馬を恐れています」と述べた。
ブラジルはワクチン接種プログラムの展開に苦労している。保険当局は中国のシノバックとイギリスのアストラゼネカを承認したが、接種は思うように進んでいない。