ボリビア反政府デモ、左派支持者が首都を包囲、パス大統領絶体絶命
パス政権は混乱の背後にモラレス元大統領の存在があると非難している。
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南米ボリビアで大規模な抗議デモと道路封鎖が続き、首都ラパスが事実上の「包囲状態」に陥っている。昨年11月に就任したパス(Rodrigo Paz)大統領は発足から半年足らずで政権最大の危機に直面している。抗議デモは労働組合や農民団体、鉱山労働者らが主導している。同国では食料や燃料の不足が深刻化、病院では酸素供給が滞り、救急搬送の遅れによって少なくとも3人が死亡した。
抗議の発端は、賃上げ要求や燃料不足への不満だった。しかし、経済危機の深刻化とともに要求は拡大し、パス氏の辞任を求めるデモに発展した。ボリビアではインフレ率が20%近くに達し、ドル不足や燃料供給難が続いている。
政府は財政再建のため補助金削減や歳出抑制を進めているものの、国民生活への打撃が大きく、不満が爆発した形だ。企業団体は全国的な道路封鎖による経済損失が1日あたり5000万ドルを超えると試算している。
ラパスではデモ隊と警官の衝突も発生した。鉱山労働者らはダイナマイトを使用しながら大統領府に接近し、警察が催涙ガスで応戦した。主要道路では封鎖が続き、数千台のトラックが立ち往生している。食料や医薬品の流通も滞り、市民生活への影響が拡大している。政府は軍や警察を各地に投入し、封鎖解除を試みているが、緊張は収まっていない。
パス政権は混乱の背後にモラレス(Evo Morales)元大統領の存在があると非難している。左派政党「社会主義運動(MAS)」を率いて政権を握ったモラレス氏は現在、未成年者との性的関係を巡る訴追を逃れるため地方に潜伏している。パス氏は19日、「民主主義を破壊しようとする者は刑務所に入る」と警告した。一方、モラレス氏は「危機の原因は政府の経済政策だ」と反論している。
今回の混乱は、約20年間続いた左派政権の終焉後、初の中道右派政権として発足したパス政権の脆弱さを浮き彫りにした。議会基盤の弱いパス氏は改革路線を進める一方で、モラレス派が依然として地方部や労組に強い影響力を持つ現実に直面している。周辺国や米国は民主的秩序の維持を支持し、アルゼンチンは人道支援のため航空輸送を開始した。だが、抗議デモは収束の兆しを見せておらず、ボリビアは近年で最も深刻な政治・経済危機のただ中にある。
