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フランス当局が英国境チェックを一時停止、ドーバー港で大渋滞発生

問題が起きたのは、ドーバーを中心とするフェリーターミナルである。
2026年5月22日/イギリス南部のドーバー港に続く道路(AP通信)

フランス当局は23日、英仏間の主要フェリー拠点であるドーバー港におけるEU国境チェックを一時的に停止した。背景には、長時間にわたる渋滞と処理遅延の発生があり、入国管理の混雑緩和を優先した対応となった。

問題が起きたのは、ドーバーを中心とするフェリーターミナルである。イギリス側からフランス側へ渡航する車両が集中し、数時間規模の待ち時間が発生した。特に週末の旅行需要増加が重なり、港周辺道路まで渋滞が波及したことで、フェリーの運航にも遅れが生じた。

今回の混乱の要因として、EES(Entry/Exit System:出入域システム)の導入初期段階における運用負荷が指摘されている。この制度はEUが域外からの入域管理を強化するために導入したもので、非EU市民の入国時に顔写真や指紋などの生体情報を登録し、従来のパスポート押印を置き換える仕組みである。しかし現場では、機器操作やデータ登録に時間を要し、従来よりも処理時間が増加した。

混雑は最大で数時間に達し、一部の旅行者が予約したフェリーに乗り遅れる事態となった。港湾当局はフランス当局と協議し、処理能力の限界を踏まえて対応を要請した。その結果、フランス側は追加的な生体認証手続きを一時停止し、従来の簡易的な国境審査に切り替える措置を取った。

この措置により、通過時間は一定程度改善し、22日午後には待ち時間が短縮された。ただし完全なチェック停止ではなく、混雑時に限定した柔軟運用となっている。

今回の事案は新制度導入初期における典型的な運用課題を示すものとなった。EUは生体認証を活用した出入国管理の効率化を目指しているが、需要集中時の処理能力や現場運用との調整が課題として浮き彫りになっている。今後は設備増強や運用改善を通じて、同様の混乱を防ぐことが求められる。

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