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子供のサプリメント摂取、知っておくべきこと「健康を損なう可能性も」

米国では近年、マルチビタミン、プロバイオティクス、魚油、メラトニンなどを子どもに与える家庭が増加している。
サプリメントのイメージ(Getty Images)

米国で子どもの栄養補助食品(サプリメント)利用が拡大する中、その安全性や必要性をめぐって専門家が警鐘を鳴らしている。ABCニュースは保護者が知っておくべきサプリメントのリスクや正しい向き合い方について特集し、「健康維持のため」という善意が、かえって子どもの健康を損なう可能性があると報じた。

米国では近年、マルチビタミン、プロバイオティクス、魚油、メラトニンなどを子どもに与える家庭が増加している。背景には、免疫力向上や集中力改善、睡眠の質向上などをうたう広告やSNS上の情報拡散がある。特にティーン世代では筋力増強や減量を目的にプロテインやクレアチン、ダイエット系サプリメントを摂取する例も目立つ。専門家によると、2022年時点で男子の55%がプロテイン製品を使用した経験があるという調査結果もある。

しかし、小児科医や栄養学の専門家は「健康な子どもの大半にサプリメントは不要」と指摘する。米小児科学会(AAP)は通常の食事を摂取できている子どもであれば、果物、野菜、穀物、乳製品、たんぱく質から必要な栄養素を十分に得られるとしている。特定の栄養欠乏症や疾患がない限り、サプリメントによる追加摂取に明確な利益を示す科学的証拠は乏しい。

一方で、過剰摂取による健康被害への懸念は強い。脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンDは体内に蓄積しやすく、大量摂取によって肝機能障害や吐き気、頭痛などを引き起こす可能性がある。さらに、一部の筋肉増強サプリメントやエネルギー系製品には、表示されていない刺激物質やホルモン類が含まれていた事例も報告されている。専門家は「サプリメントは医薬品ほど厳格に規制されていない」と警告している。

睡眠改善目的で人気が高まっているメラトニンについても、長期的な安全性は十分確認されていない。成長期の子どものホルモンバランスや免疫機能への影響は不明であり、安易な使用は避けるべきだとの声が上がる。また、プロバイオティクスも万能ではなく、免疫機能が弱い子どもでは感染症リスクを高める恐れがあるという。

さらに、専門家が問題視しているのがSNSやインフルエンサーの影響だ。美容目的の「グミ型サプリ」や減量補助食品は若年層に急速に浸透しているが、多くは科学的根拠が不十分だという。特にダイエット系サプリメントは低い自己肯定感や摂食障害、不安症状との関連も指摘されている。

こうした状況を受け、医師らは保護者に対し「まずは食生活を見直すべきだ」と呼びかける。規則正しい睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事こそが、子どもの成長や免疫機能を支える基本だと強調している。また、どうしてもサプリメントが必要な場合には、自己判断ではなく小児科医や栄養士に相談するよう求めている。専門家は「サプリメントは魔法の薬ではない。子どもの健康を守る最善策は、日々の生活習慣そのものだ」と訴えている。

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