アルゼンチン裁判所、フォークランド諸島沖の石油開発停止を命令、英との緊張高まる
対象となったのは、英ロックホッパー・エクスプロレーション(RKH)とイスラエルのナビタス・ペトロリアムが開発する「シー・ライオン」油田で、裁判所は環境審査が完了するまで掘削や海上設備、港湾建設などを進めないよう求めた。
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アルゼンチンの連邦裁判所は16日、イギリスが実効支配するフォークランド諸島(アルゼンチン名・マルビナス諸島)沖で進められている石油開発計画について、事業を停止するよう命じた。
対象となったのは、英ロックホッパー・エクスプロレーション(RKH)とイスラエルのナビタス・ペトロリアムが開発する「シー・ライオン」油田で、裁判所は環境審査が完了するまで掘削や海上設備、港湾建設などを進めないよう求めた。
判決を下したのは、アルゼンチン南端ティエラ・デル・フエゴ州の連邦判事。訴訟は環境保護活動家や1982年のフォークランド紛争の退役軍人らが起こしたもので、石油開発による化学物質の流出や海中騒音、船舶の往来、油流出事故などが海洋環境に深刻な影響を与える可能性があると訴えていた。判事は掘削や関連工事によって海洋生態系に回復困難な変化が生じる恐れがあると指摘した。
ただし、今回の命令が実際に開発計画を止めるかは不透明だ。判事自身も、命令の執行には国際的な協力と企業側の対応が必要だと認めている。両社はこれまで、フォークランド諸島政府から有効な許可を得ているとして、アルゼンチン政府による圧力があっても開発を進める姿勢を示してきた。シー・ライオン油田では2028年の商業生産開始が予定されている。
石油開発をめぐる対立は、アルゼンチンと英国の領有権問題をさらに複雑にしている。両国は1982年にフォークランド紛争を戦い、アルゼンチン軍の侵攻を英国軍が退けた。アルゼンチンは現在も諸島の領有権を主張、英国側は住民の意思による自治を重視している。2013年の住民投票では、圧倒的多数が英国領にとどまることを支持した。英国政府は、アルゼンチンの国内法が諸島には適用されないとの立場を示している。
今回の司法判断の背景にはミレイ(Javier Milei)大統領による領有権問題への対応強化もある。ミレイ政権は今月、油田開発企業への制裁強化を進める方針を示し、関係企業や幹部を対象とした刑事告発も行っている。さらにトランプ(Donald Trump)米大統領が米国の従来の中立的な立場を見直す可能性に言及したことで、外交面でも新たな不確定要素が生じている。
今回の判決は環境問題を直接の根拠とするものだが、石油資源の開発をめぐる法的対立が、長年続く英・アルゼンチン間の領有権問題と重なる形となった。今後、企業が判決にどう対応するか、またアルゼンチンと英国の双方がどのような措置を取るかが焦点となる。
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