アルゼンチン政府、ハンタウイルス調査を拡大、感染源特定へ
ハンタウイルスは発熱や筋肉痛など風邪に似た症状で始まり、重症化すると呼吸不全を引き起こす危険がある。
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アルゼンチン政府は5日、南極クルーズ船で発生したハンタウイルス集団感染の感染源解明に向けた調査を拡大し、西部メンドサ州で野生げっ歯類の捕獲・検査を実施すると発表した。調査には米疾病対策センター(CDC)の専門家も参加し、感染経路の特定を目指す。感染源をめぐっては複数の地域が候補として浮上しているものの、発生から1か月以上が経過した現在も決定的な証拠は見つかっていない。
今回の調査は、5月に南極観光クルーズ船「MVホンディウス号」で発生した集団感染を受けたものだ。感染したのは少なくとも11人で、最初に感染が確認されたオランダ人夫婦を含む複数の乗客が重症化した。原因とみられるアンデス型ハンタウイルスはアルゼンチンとチリに生息する野生げっ歯類が媒介する感染症で、ハンタウイルスの中では例外的にヒトからヒトへの感染が起こる可能性が指摘されている。
アルゼンチン保健省によると、調査チームは6月8日から12日にかけてメンドサ州内でげっ歯類を捕獲し、血液や組織サンプルを採取する。検体は首都ブエノスアイレスの研究機関で分析され、ウイルス保有の有無や感染経路との関連性を調べる。結果判明には最大で1か月程度かかる見通しだ。
調査対象にメンドサ州が選ばれた背景には、最初の感染者とされるオランダ人夫婦の旅行歴がある。夫婦はクルーズ乗船前にアルゼンチン各地やチリを旅行しており、その過程でメンドサ州も訪問していた。調査チームは夫婦がどの地点でウイルスに接触したのかを解明するため、滞在地域ごとの環境調査を進めている。
これに先立ち、政府は南端の港湾都市ウシュアイアでも同様の捕獲調査を実施した。しかし、同地域ではこれまでアンデス型ハンタウイルスの発生例が確認されておらず、地元当局は感染源との関連性に懐疑的な見方を示している。一方で、保健当局は可能性を排除せず、検査結果を待って最終的な判断を下す方針である。
ハンタウイルスは発熱や筋肉痛など風邪に似た症状で始まり、重症化すると呼吸不全を引き起こす危険がある。アンデス型の致死率は30%に達するとされ、有効なワクチンや特効薬はない。近年のアルゼンチンでは感染者数が増加傾向にあり、専門家の間では気候変動によるげっ歯類の生息域拡大が一因との指摘も出ている。
世界保健機関(WHO)は現時点で世界的流行に発展する可能性は低いとしているが、今回のクルーズ船集団感染は国際的な注目を集めた。アルゼンチン政府はCDCとの連携を強化しながら感染源の特定を急いでいる。
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