SHARE:

ベネズエラ大地震、環境・衛生へのリスク高まる、数万人行方不明

政府によると、29日時点で5000人以上が死亡、約1万7000人が負傷、約1万8000人が住居を失った。
2026年6月27日/ベネズエラ、ラグアイラ州、地震により倒壊した建物(AP通信)

ベネズエラ北部で先月発生したマグニチュード7.2と7.5の大地震について、専門家は復旧・復興の本当の課題はこれから始まると警鐘を鳴らしている。震源に近いラグアイラ州では倒壊した建物の撤去作業が続く一方、膨大な瓦礫や汚染水、劣悪な避難環境が公衆衛生と自然環境に長期的な影響を及ぼす恐れが高まっている。政府によると、29日時点で5000人以上が死亡、約1万7000人が負傷、約1万8000人が住居を失った。政府は行方不明者数を公表していないが、地元の人権団体は数万人と見積もっている。

被害が最も深刻なラグアイラ州では倒壊した建物から発生する粉じんが市街地を覆い、腐敗した有機物の悪臭も広がっている。国際医療支援団体「プロジェクトHOPE」は「地域によっては遺体の臭いが非常に強い」と説明し、住民や救助活動に当たるボランティアの健康への影響を懸念する。建材にはアスベストなどの有害物質が含まれている可能性があり、不適切に処分されれば土壌や海洋環境の汚染につながる恐れもあるという。

地元当局はコンクリートや鉄筋など再利用可能な瓦礫と有害廃棄物の分別を進めているが、処理能力には限界がある。大量の廃棄物が放置されれば、粉じんによる呼吸器疾患だけでなく、化学物質が雨水などを通じて周辺環境に流出する可能性もある。港湾部に近い地域では、海洋生態系への悪影響を防ぐためにも慎重な処理が求められている。

保健分野では、安全な飲料水の不足が深刻な課題となっている。給水車による支援は行われているものの、水質が十分に管理されているとは限らず、不衛生な環境が下痢や尿路感染症、皮膚感染症の増加につながっている。さらに、避難所の過密状態や上下水道の機能停止、医療機関の被災、ワクチン接種率の低下が重なり、感染症流行の危険性が高まっている。

世界保健機関(WHO)は「地震そのものが感染症を引き起こすのではなく、災害後の生活環境が感染拡大の要因となる」と指摘する。

WHOは下痢性疾患や急性呼吸器感染症に加え、デング熱、マラリア、麻しんなど18種類の疾患を重点監視対象に指定した。ベネズエラでは震災前から医療体制の脆弱化や予防接種率の低下が問題となっており、避難所での集団生活によって感染拡大のリスクが一段と高まっている。

専門家は感染症監視体制の強化や安全な飲料水の確保、衛生環境の改善、医療サービスの早期復旧を進めるとともに、復興段階で環境保全を考慮した廃棄物処理や都市再建を進めることが、二次災害を防ぐ鍵になるとしている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
あなたへのおすすめ