コロンビア地震、最貧困地域チョコ県の被害深刻、支援行き届かず
チョコ県は8月10日に地震が発生する以前から、貧困、劣悪なインフラ、医療・教育への慢性的な不足に苦しんでいた。
.jpg)
コロンビア西部を襲ったマグニチュード7.4の地震は、国内でも特に貧しく、長年にわたり政府の支援が行き届かなかったチョコ県に深刻な被害をもたらした。中央政府によると、19日時点で312人の死亡を確認し、2万9000戸の住宅が全壊した。国連人道問題調整事務所(OCHA)はチョコ県だけで約6万9000人が被災したと推計している。
チョコ県は8月10日に地震が発生する以前から、貧困、劣悪なインフラ、医療・教育への慢性的な不足に苦しんでいた。山岳地帯と熱帯雨林に覆われ、他地域に続く道路は2本しかない。多くの町へは航空機や船でしか行けず、太平洋岸の全長約650キロに及ぶ地域と内陸部を結ぶ道路もない。この地理的な孤立が、被災地への救援物資の輸送や被害状況の把握を難しくしている。
教育への影響も大きい。州政府によると、200校以上が損壊した。インターネット環境も十分ではなく、校舎が使えない子どもたちがオンライン授業で学習を続けることも容易ではない。人口の多くをアフリカ系コロンビア人や先住民が占めるチョコ県は、国内で最も取り残された地域の一つとされてきた。
さらに、違法鉱山や麻薬取引の利権をめぐって武装勢力が対立しており、住民の避難や救援活動を妨げる要因となっている。国連人口基金(UNFPA)のコロンビア代表は地震による人道危機に、開発の遅れと紛争という2つの危機が重なった「三重の危機」と指摘する。
医療体制も限界に達している。州都キブドにある唯一の公立病院には負傷者が殺到し、設備と人員が不足。多発骨折の患者36人を約400キロ離れたメデジンに空路搬送した。
今月就任したデラエスプリエジャ(Abelardo De La Espriella)大統領はチョコ県を訪問し、数十億ドル規模のインフラ投資や雇用創出、家を失った住民への住宅支援を約束した。しかし、住民の間には、これまで何十年も放置されてきた問題が本当に解消されるのかとの不信感も強い。
今回の地震は単なる自然災害ではなく、チョコ県が抱えてきた貧困と孤立、紛争という構造的問題を改めて浮き彫りにした。復旧には住宅や道路を再建するだけでなく、医療、教育、治安を含めた長期的な地域再生が求められる。
