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米ウォルマートとアマゾン、地方の配送網強化、市場獲得狙う

証券大手モルガン・スタンレーによると、農村部の消費市場は年間1兆ドル規模に達する可能性がある。
2026年1月21日/米デラウェア州シ―フォード、アマゾンの仕分けセンター(AP通信)

小売り大手のウォルマート(Walmart)とアマゾン(Amazon)が米国の農村部を新たな成長市場として争奪している。これまで人口密度の低さや物流コストの高さから「採算が合わない」と見なされてきた地方市場だが、リモートワークの普及や所得上昇を背景に、両社は配送網の強化を急いでいる。

証券大手モルガン・スタンレーによると、農村部の消費市場は年間1兆ドル規模に達する可能性がある。コロナ禍以降、大都市から郊外や地方へ移住する人が増えたことで、地方でも都市並みの配送サービスへの需要が高まった。農村地域の世帯所得も上昇傾向にあり、家電や衣料品、家具などへの支出が拡大している。

この分野で優位に立つのは、全米各地に店舗網を持つウォルマートだ。米国民の90%が店舗から10マイル以内に住み、ウォルマートセンターの45%は人口2万人未満の地域に立地している。ウォルマートは既存店舗を配送拠点として活用し、ロボットによる商品仕分けやAIを使った在庫管理を導入。配送エリアの拡大によって、地方でも即日配送を可能にしている。

一方、アマゾンも攻勢を強める。同社は約40億ドルを投じ、小規模都市や農村部4000地域に翌日配送や即日配送を拡大している。地方向けの小型配送拠点「マイクロハブ」を整備し、AIで需要予測を行うことで配送時間を短縮する戦略だ。アマゾンのジャシー(Andrew R. Jassy)CEOは、地方での即日配送利用者数が前年から倍増したと明らかにしている。

競争が激化する背景には、地方配送を担ってきたフェデックス(FedEx)やユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、郵政公社が不採算地域でのサービス縮小を進めている事情もある。その空白を埋める形で、小売企業自らが物流網を構築し始めた。

配送スピードは都市部だけの競争ではなくなった。地方の消費者も「注文翌日に届く」利便性を求めるようになり、小売業界は新たな物流競争の時代に入っている。

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