米ユタ州で麻しん(はしか)流行続く、最初の感染報告から1年
今回の流行の特徴は、感染拡大が特定地域にとどまらず州全域へ広がった点にある。
ワクチン(Getty-Images).jpg)
米ユタ州で麻しん(はしか)の流行が続いている。2025年6月に最初の感染が確認されて以降、累計患者数は680人を超え、州当局は依然として終息の見通しが立たない状況に警戒を強めている。流行が長期化した場合、米国が2000年から維持してきた「麻しん排除国」の地位にも影響を及ぼす可能性がある。
今回の流行の特徴は、感染拡大が特定地域にとどまらず州全域へ広がった点にある。テキサス州やサウスカロライナ州などで発生した流行では特定の地域で感染が集中したが、ユタ州では29郡中22郡で感染者が確認された。医療機関や商業施設、飲食店、スポーツ大会などさまざまな場所で感染が報告され、今年2月には高校のレスリング選手権で少なくとも46人が感染した。
背景には予防接種率の低下がある。州内の幼稚園児の麻しん・おたふく風邪・風疹(MMR)ワクチン接種率は集団免疫の維持に必要とされる95%を下回っており、未接種者や接種記録が確認できない児童も少なくない。特に州南西部や北東部の農村地域では接種率低下が顕著で、感染拡大の温床となった。
麻疹は極めて感染力の強いウイルス性疾患で、高熱や発疹、せきなどの症状を引き起こす。多くは回復するものの、乳幼児や妊婦、免疫機能が低下した人では肺炎や脳炎など重篤な合併症を招く危険がある。一方、MMRワクチンは2回接種で約97%の予防効果があるとされる。
州当局は学校での登校制限やワクチン接種の呼びかけを続けてきたが、専門家は秋以降の再拡大を懸念している。新学期の開始や屋内活動の増加によって感染機会が増えるためだ。米国内では近年、ワクチンへの不信感や誤情報の拡散により接種率が低下する傾向がみられ、麻しん患者数が増加している。ユタ州の事例は、予防接種率の低下が公衆衛生に及ぼす影響を改めて示すものとなっている。
