◎共和党がマッカーシー(Kevin McCarthy)前下院議長を追放してから2週間以上が経過した。
2023年10月19日/米ワシントンD.C.連邦議会、共和党のジョーダン下院議員(ロイター通信)

共和党が下院議長を選出できずにいる。ジョーダン(Jim Jordan)下院議員はトランプ派閥の取り込みに失敗し、過半数を獲得できる見込みは全く立っていない。

2024会計年度のつなぎ予算の期限が切れる来月中旬までに下院議長を選出できなければ、取り返しにつかない事態に発展する恐れがある。

共和党がマッカーシー(Kevin McCarthy)前下院議長を追放してから2週間以上が経過した。

選出投票で過半数を取れそうな候補はひとりもいない。

ジョーダン氏は20日、回を重ねるごとに混迷と険悪さが増す投票で結果を出すと改めて表明した。

民主党の左派議員はこう嘆いている。「下院議長はどこですか?マッカーシーはどうしたの?」

共和党はジョーダン氏にタオルを投げず、トランプ派の強硬派議員をなだめようと必死である。

共和党内の投票でジョーダン氏に敗れたスカリス(Steve Scalise)院内総務は現状をどう見ているのか?

スカリス氏はどちらかというと穏健派で、取り引きを好み、共和党ナンバー2にのし上がった。

一方、強硬派のジョーダン氏はトランプ氏を応援し、一部の議員から「爆弾」と呼ばれたこともある男だ。彼は極右派閥による瀬戸際外交を駆使して、中道議員を右傾化させてきた。

またジョーダン氏は2024大統領選に立候補を表明しているトランプ氏とその有権者、右翼ポピュリスト系組織の後ろ盾も持っている。

フォックス・ニュースのアンカーはジョーダン氏を応援しているようだ。

スカリス氏は立候補時、共和党の混乱を収束させたいと表明。ジョーダン氏は「バイデン政権による危機を潜り抜け、前進するぞ」と主張していた。

しかし、少なくとも20人の共和党議員がジョーダン氏の過激な思考に反対を表明。トランプ派閥の議員以外もその資質に疑問を呈したのである。

3回目の投票で大敗を喫したジョーダン氏は「どうしてこうなった」と頭を抱えているようにみえる。

マッカーシー氏の解任動議を提出したゲーツ(Matt Gaetz)下院議員は共和党の現状を「底なし沼」と評している。

マッカーシー氏は15回目の投票でようやく選出された。ジョーダン氏はあと12回も挑戦できる。

一部の共和党議員は投票を「時間の無駄」と呼び、打開策を考えている。すでに一部の議員が下院議長への立候補を真剣に検討しているようだ。

ジョーダン氏の失敗で共和党は難しい対応を迫られることになった。下院の多数派として、つなぎ予算の期限が切れる11月中頃までには必ず議長を選出しなければならない。

AP通信は関係者の話しとして、「共和党は来週初めに非公開の会合を開き、別の候補を選出する可能性がある」と伝えている。

ジョーダン氏は今回の投票で世界に恥をさらした。彼が撤退を表明するかどうかは不明である。

スポンサーリンク