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米国務長官、イラン問題への対応めぐり欧州に圧力、イタリア首相と会談

ルビオ氏はローマの記者団に対し、「単なる声明だけでは不十分だ」と述べ、欧州各国に対し、ホルムズ海峡の航行の自由確保に向けた具体的行動を取るよう求めた。
2026年5月8日/イタリア、ローマ、メローニ首相(右)とルビオ米国務長官(AP通信)

ルビオ(Maro Rubio)米国務長官は8日、イタリア・ローマを訪問し、イラン問題への対応を巡って欧州各国に「より強い関与」を求めた。一方で、イラン戦争を巡る対立によって悪化したイタリア政府やローマ教皇庁との関係修復にも取り組み、外交的火消しに追われる形となった。

ルビオ氏はローマの記者団に対し、「単なる声明だけでは不十分だ」と述べ、欧州各国に対し、ホルムズ海峡の航行の自由確保に向けた具体的行動を取るよう求めた。イランは中東情勢の緊迫化の中で海上輸送への圧力を強めており、米国はエネルギー輸送路の安全保障を重視している。ルビオ氏は「国際水路をイランに支配させるわけにはいかない」と強調し、欧州側の消極姿勢に不満を示した。

今回の訪問ではメローニ(Giorgia Meloni)首相との会談が最大の焦点となった。イタリアは伝統的な親米国家だが、米国主導の対イラン軍事作戦については慎重姿勢を維持している。メローニ政権は米軍によるイラン作戦への基地使用要請の一部を拒否、両国間の摩擦が表面化していた。メローニ氏は会談後、「率直な意見交換を行った」と述べつつも、イラン戦争には否定的な立場を崩さなかった。

背景には、トランプ政権と欧州諸国の温度差がある。米国はイランへの圧力強化を主導しているが、欧州側は戦争拡大によるエネルギー危機や難民流入を警戒している。特にイタリアは中東依存度が高く、原油価格高騰による経済への打撃を懸念している。会談ではイラン問題に加え、リビア情勢や欧州の安全保障問題についても協議が行われた。

ルビオ氏はローマ教皇レオ14世(Pope Leo XIV)との会談のためバチカンも訪問した。これは、トランプ(Donald Trump)大統領が教皇の反戦姿勢を繰り返し批判したことで悪化した関係を修復する狙いがあったとみられる。教皇はこれまで一貫して停戦と対話を呼び掛け、イラン戦争にも否定的な立場を示してきた。バチカン側は会談後、「平和のためにたゆまぬ努力を続ける必要性について議論した」と発表した。

会談では象徴的な贈り物の交換も行われた。ルビオ氏はクリスタル製のフットボールを贈り、教皇は平和を象徴するオリーブの木製ペンを手渡したという。専門家は「関係改善を演出する意図があった」と分析しているが、立場の違いは依然として大きい。

今回の訪問はイラン情勢を巡って米欧間の亀裂が拡大する中で行われた。NATO加盟国の一部では、米軍への基地提供や軍事支援に慎重論が強まっており、同盟内部の結束にも影響を及ぼしている。ルビオ氏は「NATOは依然として重要だ」と強調したものの、対イラン政策を巡る欧州との距離感が改めて浮き彫りとなった。

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