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アンデス共同体、コロンビアとエクアドルに貿易制限の解除命じる

対立の発端は、エクアドル政府が今年に入り、コロンビアからの輸入品に対する関税を段階的に引き上げたことにある。
コロンビア、エクアドルの国境検問所(ロイター通信)

南米の地域経済機構「アンデス共同体(CAN)」は8日、加盟国であるコロンビアとエクアドルに対し、互いに発動していた関税引き上げなどの貿易制限措置を10営業日以内に撤廃するよう命じた。両国は国境地帯の治安対策や麻薬密輸対策を巡って対立を深め、報復関税の応酬に発展していたが、域内自由貿易の原則に反するとして是正を求められた形だ。

対立の発端は、エクアドル政府が今年に入り、コロンビアからの輸入品に対する関税を段階的に引き上げたことにある。エクアドル側は国境地帯での麻薬取引や犯罪組織の活動に対し、コロンビア側の対応が不十分だと主張。さらに自国産業の保護や貿易赤字是正を理由に、一部コロンビア製品への関税を最大100%まで引き上げた。

これに対し、コロンビア政府も報復措置を発表し、約190品目のエクアドル製品に35〜75%の追加関税を導入したほか、一時的に電力輸出を停止した。両国の貿易は急速に冷え込み、国境地域では物流停滞や売り上げ減少が深刻化していた。両国の商工会議所は双方の制裁によって中小企業や輸送業者が大打撃を受けていると訴えていた。

CANは声明で、「加盟国間では原則として関税ゼロによる自由貿易が保障されている」と指摘。今回の措置はいずれも協定に違反すると判断した。特にエクアドルが導入した高関税措置については、治安改善との直接的な関連性が十分に示されていないとし、事実上の保護主義的措置と認定した。また、コロンビア側の報復関税についても、域内貿易自由化の枠組みに反すると結論づけた。

CANの決定には法的拘束力があり、両国は原則として従う義務を負う。ただ、現時点で両政府は正式なコメントを出していない。両国関係は歴史的に緊張と協調を繰り返してきた経緯があり、2008年にはコロンビア軍による越境作戦をきっかけに外交危機へ発展したこともある。今回の貿易摩擦も安全保障問題と経済政策が複雑に絡み合う形となった。

南米では近年、景気減速や財政悪化を背景に保護主義的な政策が強まる傾向がみられる。一方で、CANは地域統合維持のため、加盟国間の自由貿易体制を守る姿勢を鮮明にしている。今回の決定が両国の関係修復につながるかが注目される。

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