◎米加両政府はクルド人女性のアミニさんが首都テヘランで道徳警察に殴り殺された事件以来、イラン指導部や関係機関に制裁を科してきた。
イランの道徳警察と指導部に抗議するデモ(Getty Images)

米国とカナダ政府は9日、イラン国内で抗議デモが弾圧されていることを受け、イラン政府関係者を制裁リストに追加した。

米財務省は治安・法執行機関の高官3人を制裁リストに追加した。

米加両政府は共同声明で、「イラン市民の人権と基本的自由を否定する進行中の残忍な弾圧を含む人権侵害に関与した当局者に制裁を科す」と述べている。

また米国は「国際腐敗防止デー(12月9日)」に合わせて9カ国の40以上の個人・団体に制裁を科した。対象は北朝鮮、ロシア、エルサルバドル、グアテマラ、マリ、フィリピンなど。

米加両政府はクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが首都テヘランで道徳警察に殴り殺された事件以来、イラン指導部や関係機関に制裁を科してきた。

一方、イラン指導部は8日、抗議デモで逮捕された男性の死刑を執行した。男性はナイフで警察官を攻撃したとされ、絞首刑に処された。

米加両政府は声明の中で、デモ隊の殺害に関与したとされる執行機関の司令官を非難している。

この男はオマーン湾に面する都市チャー・バハールの執行機関を指揮し、15歳の少女をレイプしたとされる。このレイプ事件は抗議デモに拍車をかけたが、治安部隊は60人以上を殺害し、これを武力で鎮圧した。

米国はテヘラン郊外にある刑務所の責任者も制裁リストに追加した。

制裁リストに追加された個人が米加で所有する資産は凍結され、米加の個人・企業との取引もできなくなる。

米財務省は9月以降、デモ隊の弾圧に関与した当局者や団体に対し、5回制裁を発動している。

カナダも10月、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)の隊員約1万人の入国を禁じた。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などは、「治安部隊の攻撃でこれまでに民間人約450人が殺害され、数万人が負傷し、約1万8000人以上が拘束された」と報告している。

イランの道徳警察と指導部に抗議するデモ(Getty Images)
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