◎物議を醸したラジオパーソナリティ兼政治評論家のラッシュ・リンボー氏(70歳)が2月17日に肺がんで亡くなった。
◎トランプ前大統領は退任後の初の電話インタビュー(フォックスニュースチャンネル)で、リンボー氏を「伝説」と表現した。
2020年2月4日 AP通信/ワシントンD.C.亡くなったラッシュ・リンボー氏(中央)とメラニア夫人

報道によると、物議を醸したラジオパーソナリティ兼政治評論家のラッシュ・リンボー氏(70歳)が2月17日に肺がんで亡くなったという。

同氏の死を受け、ドナルド・トランプ前大統領や他の著名な保守派の政治家は哀悼の意を表した。

ラジオ番組「ラッシュリンボーショー」のホストとして活躍した右翼ラジオ王は、何十年にも渡って保守的な団体や支持者から高く評価されてきた。

トランプ前大統領は退任後の初の電話インタビュー(フォックスニュースチャンネル)で、リンボー氏を「伝説」と表現した。

ドナルド・トランプ前大統領:
「私は伝説になった人間をあまり知りません。しかし、ラッシュは伝説でした。皆が彼の言うことを熱心に聞きました。彼の言葉は宗教のようなものでした」

「彼は偉大な紳士、偉大な男でした。彼は途方もない洞察力を持っていました。彼は2016年の大統領選挙で私のために戦いました。最初から最後まで私のそばにいました」

「ラッシュは昨年の選挙に勝ったのは私だと言いました。私もそう思っています。私たちは勝ちました。そう、私たちは実質的に勝ったのです

マイク・ペンス前副大統領もリンボー氏の死を悼み、「アメリカは巨人を失った」と述べた。

ジョージ・W・ブッシュ元大統領はリンボー氏を「心の広い不屈の精神」と表現した。
「彼は生意気で、時には物議を醸し、常に意見を述べていた。しかし、彼は何百万人ものアメリカ人の声を紹介し、毎日勇気を持ってラジオホストを務めた」

2020年、トランプ前大統領はリンボー氏に自由勲章(民間人に与えられる最高の栄誉)を与え、その功績を称えた。

リンボー氏は「アメリカで最も危険な男」と呼ばれ、厳しく非難されてきた。しかし、同氏は動じることなくラジオアンカーとして情報を発信し続け、反発する者を「共産主義者、フェミナチ、ファゴット(同性愛者や女性的な男性に対する侮辱的な蔑称)、過激派」などと嘲笑した。

パーキンソン病に苦しむマイケル・J・フォックス氏が民主党のコマーシャルに出演した時、リンボー氏はフォックス氏の震える姿を面白がり、「民主党は病人をテレビに出演させ、恥をかかせました」と述べた。

1980年代にエイズが大流行した際には、「病気を広める黒人は自殺するべきです」と発言し、過激な保守団体から絶賛された。

2008年の大統領選挙でバラク・オバマ氏が勝利した時、リンボー氏は遺憾の意を表明したのち、「彼が失敗することを願っています」と述べた。

先月、DC議会議事堂で暴動が発生した際には、暴徒を革命家と比較し、とても興味深いと語った。

ラッシュ・リンボー氏:
「暴力の終焉を求める人々がたくさんいます...彼らは状況に関係なく、いかなる暴力や攻撃も容認できないと言っています。サミュエル・アダムズ...トマス・ペイン...私の知人や関係者はそのようには感じなかったと言いました。とてもうれしいです」

リンボー氏は保守派のアイドル、ロナルド・レーガン元大統領から手紙をもらったことを誇らしげに語っている。レーガン元大統領は手紙の中で、「あなたの声は保守主義のナンバーワン、市民に大きな影響を与えています」と書いた。

ラジオで危険な情報を発信し続けたリンボー氏は、アメリカを分裂した男のひとりと呼ばれている。バラク・オバマ元大統領の出身地に疑いを投げかけた根拠のない陰謀論は物議を醸し、過激な保守団体はその言葉を信用した。

最後の放送でもリンボー氏の勢いは衰えず、コロナウイルスを軽視し、民主党は昨年の大統領選挙で票を操作し、民主主義を破壊したと語った。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は17日の会見で、「ジョー・バイデン大統領はリンボー氏の家族と友人に哀悼の意を表しています」と述べた。

2001年2月3日 AP通信/葉巻を加えるラッシュ・リンボー氏
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