トヨタ、米テキサス州に新工場建設へ、36億ドル規模
新工場は2028年の稼働開始を予定し、年間約20万台の生産能力を持つ。
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トヨタ自動車は6日、米テキサス州サンアントニオ近郊に約36億ドル(約5800億円)を投じて新たな工場を建設すると発表した。新工場では主力ピックアップトラック「タコマ(TACOMA)」の生産を行い、現在メキシコで生産している一部車両を米国内へ移管する。米国での生産能力を拡充するとともに、関税政策や供給網の変化に対応する狙いがある。
新工場は2028年の稼働開始を予定し、年間約20万台の生産能力を持つ。完成すれば約3000人を直接雇用する見通しで、部品メーカーや物流企業など関連産業を含めると、地域経済への波及効果はさらに大きくなるとみられる。建設予定地はトヨタが大型ピックアップトラック「タンドラ」やSUV「セコイア」を生産している既存工場に隣接しており、生産設備や物流網を共有することで効率化を図る。
今回の投資に伴い、メキシコ中部グアナフアト州の工場で生産しているタコマの一部をテキサスへ移す。一方で、メキシコ工場での生産は継続し、すべてを米国へ移転するわけではない。トヨタは北米市場向け車両の需要に柔軟に対応するため、生産拠点を複数維持する方針を示している。
背景には、米国の通商政策の変化がある。トランプ政権は製造業の国内回帰を重視し、自動車や関連部品に対する関税措置を相次いで打ち出してきた。海外で生産した車両を米国へ輸入する企業にはコスト増加の懸念があり、メーカー各社は米国内への投資を加速させている。トヨタも今回の計画について、長期的な需要への対応に加え、北米における競争力を維持・強化するための戦略的投資と位置付けている。
近年では、韓国の現代自動車や日本のホンダ、日産自動車なども米国での生産能力増強を進めるなど、自動車産業では「現地生産・現地販売」の流れが一段と強まっている。トヨタはこれまでにも米国で累計約530億ドル以上を投資し、11州に製造拠点を展開してきた。今回の新工場建設は、その投資拡大の一環となる。
テキサス州のアボット(Greg Abbott)州知事は6日、この投資計画について「州経済と雇用に大きな恩恵をもたらす」と歓迎する声明を発表した。トヨタは米国市場で長年、高い販売実績を維持し、特にピックアップトラックは収益性の高い主力車種となっている。米国内での生産体制をさらに強化することで、物流コストや為替変動の影響を抑えるとともに、政策変更にも柔軟に対応できる体制を整える考えだ。
この決定は世界的なサプライチェーン再編と保護主義の高まりを背景に、自動車メーカーが生産戦略を見直す動きが加速していることを象徴する事例となりそうだ。
