人工着色料の排除目指す米FDA、天然由来に課題も
FDAは2025年以降、石油由来の合成着色料8種類を米国の食品供給網から段階的に排除し、天然着色料への移行を促進している。
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米食品医薬品局(FDA)が「人工着色料」の使用削減を進める中、代替として期待される天然由来の着色料にも課題があることが専門家の間で指摘されている。
FDAは2025年以降、石油由来の合成着色料8種類を米国の食品供給網から段階的に排除し、天然着色料への移行を促進している。ビートジュースやウコン、バタフライピー抽出物、クチナシ青色素、藻類由来の青色色素などが代替候補として挙げられ、ネスレやゼネラル・ミルズ、クラフト・ハインツ、ペプシコなどの大手食品メーカーも人工着色料の廃止計画を公表している。
こうした動きは健康志向の消費者や市民団体から歓迎されている。一方で、天然由来だからといって必ずしも安全性が高いとは限らないとの見方もある。米化学会(ACS)の専門家は植物や鉱物、動物由来の天然着色料は、合成着色料ほど十分な毒性データが蓄積されていない場合があると指摘する。
人工着色料を巡っては、動物実験や一部の研究で子どもの行動への影響や健康リスクが示唆されてきた。しかし、これらが注意欠如・多動症(ADHD)などを直接引き起こすという強固な証拠は確認されていない。こうした状況の中で、天然着色料への移行は予防的な措置として進められている。
ただし、天然着色料にも懸念材料が存在する。例えば、ニンジンなどに含まれるβカロテンは天然の橙色着色料として広く利用されているが、一部研究では喫煙者における肺がんリスク上昇との関連が報告されている。また、フランスで行われた大規模研究では、特定の天然着色料の摂取量が多い人ほど、がんや2型糖尿病の発症率が高い傾向が示された。ただし、因果関係が証明されたわけではない。
さらに、ウコン由来のクルクミンではまれに肝障害が報告されているほか、昆虫由来のカルミン色素やベニノキ種子由来のアナトー色素はアレルギー反応を引き起こす可能性がある。専門家は「天然=安全」という単純な図式は成り立たず、人工着色料とは異なる種類のリスクを持つと説明する。
加えて、天然着色料は供給量や品質の安定性にも課題を抱える。植物由来の色素は退色しやすく、同じ色合いを再現することが難しいため、製造コストの上昇や商品価格への影響も懸念されている。
栄養学の専門家は、着色料の種類だけに注目するのではなく、「超加工食品」の摂取を減らし、野菜や果物を中心とした食生活を心掛けることが重要だと強調する。FDAの方針は食品添加物の見直しを促す契機となっているが、天然着色料への移行が万能な解決策ではないことも明らかになりつつある。
