米国でヒスパニック文化月間始まる、7000万人超の歴史と多様性を祝う
米国勢調査局によると、ヒスパニック系住民は7000万人を超え、米国人口の約5分の1を占める最大の人種・民族的少数派となっている。
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米国で9月15日、毎年恒例の「全米ヒスパニック文化遺産月間(National Hispanic Heritage Month)」が始まった。10月15日までの1カ月間、スペインやメキシコ、カリブ海諸国、中南米にルーツを持つ人々の歴史や文化、米国社会への貢献に焦点を当て、各地で祭典や音楽、ダンスなどの催しが行われる。
米国勢調査局によると、ヒスパニック系住民は7000万人を超え、米国人口の約5分の1を占める最大の人種・民族的少数派となっている。
この行事はもともと「ヒスパニック文化遺産週間」として始まった。メキシコ系米国人のエドワード・ロイバル(Edward Ross Roybal)下院議員が法案を提案し、1968年にリンドン・ジョンソン(Lyndon Baines Johnson)大統領が署名した。その後、ロナルド・レーガン政権下の1980年代に1カ月間の行事へと拡大された。
9月15日が開始日に選ばれたのは、1810年にメキシコ独立戦争の発端となった「ドロレスの叫び」にちなむためで、エルサルバドルやグアテマラなど中米諸国も9月に独立を祝う。
今年も全米各地で文化行事が予定されている。テキサス州サンアントニオでは9月初旬からダンス公演を含む関連イベントが開催され、各地でラテン系の音楽、料理、芸術などが紹介されている。こうした催しは単なる文化紹介にとどまらず、移民として米国に渡った世代から現在のコミュニティーまで、長い歴史を振り返る機会にもなっている。
一方、ヒスパニック系住民を一つの集団として捉えることには注意も必要だ。メキシコ系、コロンビア系、エルサルバドル系など、それぞれの文化や歴史には大きな違いがある。「Hispanic」は主にスペイン語圏とのつながりを示す一方、「Latino」はラテンアメリカとのつながりを示す言葉であり、「Latinx」など別の表現を選ぶ人もいる。呼称そのものをめぐっても多様な考え方が存在する。
また、今年の文化遺産月間では、労働運動や社会的権利の歴史も重要なテーマとなる。ラテンアメリカやカリブ海地域から移住した人々は、家族や相互扶助、地域社会の結び付きを重視しながら米国で生活基盤を築いてきた。歴史研究者は、こうした共同体の歩みだけでなく、植民地主義や人種化をめぐる歴史について考える機会にもなると指摘している。
ヒスパニック文化遺産月間は、特定の民族集団だけが自らの文化を祝う期間ではない。ラテン系住民の歴史や文化が、食、音楽、芸術、労働、地域社会などを通じて米国そのものの形成に深く関わってきたことを確認する期間でもある。
人口と経済的存在感が拡大する中、米国社会におけるラテン系コミュニティーの位置を改めて考える機会となっている。
