イタリア、スペインからの入国者の国境検査を延長、移民問題めぐる対立続く
検査は7月末に導入され、スペイン領セウタで発生した大規模な移民流入をきっかけに、国内の安全保障やテロリスト侵入のリスクを理由として続けられている。
.jpg)
イタリア政府は15日、スペインから空路や海路で入国する旅行者に対する一時的な国境検査をさらに15日間延長すると発表した。検査は7月末に導入され、スペイン領セウタで発生した大規模な移民流入をきっかけに、国内の安全保障やテロリスト侵入のリスクを理由として続けられている。
発端となったのは、7月末にアフリカ北西部のセウタで発生した大量の移民流入である。モロッコ側から7万2000人を超える移民がセウタへの越境を試み、140人以上が死亡する事態となった。イタリア政府は、スペインへの大量流入が欧州域内での二次的な移民移動につながる可能性を警戒し、8月1日からスペインとの間の空路・海路でシェンゲン協定に基づく自由な移動を一時的に制限した。
これに対しスペイン政府もイタリアからの旅行者に対する国境検査を導入し、今回さらに15日間延長した。両国はともに自国の措置を安全保障上必要なものと説明しているが、実際には移民政策をめぐる政治的対立が背景にある。
イタリアのメローニ政権は移民流入への厳格な対応を重視する一方、スペインのサンチェス政権は不法滞在者の合法化政策を進めており、両国の立場には大きな隔たりがある。
今回の措置が特に注目されるのは、イタリアとスペインがともに欧州連合(EU)のシェンゲン圏に属しているためだ。通常、域内の国境検査は原則として行われないが、重大な安全保障上の脅威がある場合には一時的な再導入が認められている。EUの執行機関である欧州委員会はこうした措置について、例外的かつ限定的で、最後の手段として実施されるべきだとしている。
移民問題をめぐる両国の対立は、単なる二国間関係にとどまらない。域内の自由な人の移動を柱の一つとしてきたシェンゲン体制に、各国の移民・安全保障政策の違いが影響を及ぼしているためだ。
イタリアとスペインによる相互の国境検査が長期化すれば、欧州の移民政策だけでなく、シェンゲン圏そのものの運用にも影響を与える可能性がある。
