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米国の実質所得、ようやくコロナ前を上回る――インフレに追われた家計の6年間

2025年の世帯実質中央値所得は8万7460ドルとなり、2019年の8万5320ドルを上回った。
米ニューヨーク市の食料品店(Getty Images)

米国の家計所得が2025年、ようやく新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回った。米国勢調査局によると、2025年の世帯実質中央値所得は8万7460ドルとなり、2019年の8万5320ドルを上回った。前年比ではインフレ調整後で2.6%増となり、過去最高を更新した。

ただし、この数字だけを見て米国民の暮らしが豊かになったと判断するのは早計だ。2019年から2025年までの6年間で実質所得が増えた割合は約2.5%にとどまる。一方、2013年から2019年までの6年間には実質所得が19%増えていた。コロナ禍以降、急激な物価上昇が所得の伸びをほぼ打ち消してきたことが分かる。

特に2021年以降のインフレは家計を圧迫した。賃金が上昇しても、住宅費、食品、エネルギー、サービスなどの価格上昇が続けば、名目所得の増加ほど生活水準は改善しない。今回、実質所得が過去最高に達したことは、米国経済がインフレによる購買力の低下をようやく取り戻し始めたことを示す。

所得格差も依然として大きい。2025年の上位10%の世帯所得は26万1300ドルだったのに対し、下位10%は2万ドル強にとどまり、両者の格差は約13倍に拡大した。全体の中央値が上昇しても、その恩恵がすべての層に均等に及んでいるわけではない。

一方、女性の所得には改善がみられた。2025年の女性の所得は3.2%増加し、男性1ドルに対する女性の所得は約84セントまで上昇した。人種別では黒人世帯の中央値所得が4.8%増の5万9980ドルとなり、主要な人種グループの中で最も大きな伸びを記録した。

米国の実質所得は確かに回復した。しかし、それは「豊かさが増した」というより、長期間続いたインフレによって失われた購買力を取り戻す段階に入ったと見るべきだ。所得統計が過去最高を示す一方で、生活費への不満が根強いのは、数字の上昇と家計が感じる豊かさの間に大きな時間差があるためである。

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