SHARE:

米ミシガン州で「サイクロスポーラ症」の流行続く、予算削減で人員足りず

サイクロスポーラ症は汚染された生野菜や果物、水などを介して感染する寄生虫疾患で、激しい下痢や腹痛、吐き気などを引き起こす。
タコスのイメージ(Getty Images)

ミシガン州で腸管寄生虫による感染症「サイクロスポーラ症(Cyclosporiasis)」の流行が続いている。州内の感染者数は25日時点で8100人を超え、9州に広がる今回の流行で最も深刻な被害を受けている。感染拡大の要因として、トランプ政権による公衆衛生関連予算の削減が感染症対策の現場に深刻な影響を及ぼしている実態が浮かび上がった。

サイクロスポーラ症は汚染された生野菜や果物、水などを介して感染する寄生虫疾患で、激しい下痢や腹痛、吐き気などを引き起こす。疾病対策センター(CDC)は7月14日に警報を発令したが、ミシガン州保険当局はそれに先立ち市民に注意喚起していた。

州保健当局によると、感染源の一部は青果大手テイラー・ファームズが供給し、タコベルで提供された細切りレタスと関連している可能性がある。ただ、州内患者の約12%で共通の感染経路が確認されておらず、感染源の特定には至っていない。サイクロスポーラは遺伝子解析による追跡が難しく、患者への聞き取り調査に頼らざるを得ないため、原因究明には多くの人員と時間が必要である。

こうした中、感染症対策を担う人材不足が対応を一段と困難にしている。トランプ政権は昨年、コロナ対策として各州に配分されていた約120億ドルの補助金を打ち切った。その結果、ミシガン州では感染症対策職員23人、郡保健部門では123人が減員となった。州当局は肝炎対策や銃犯罪防止プログラムなど他部門から職員を応援に回し、退職者やボランティアの協力も得ながら対応を続けている。

一方、州や郡の保健当局は、CDCや食品医薬品局(FDA)との情報共有にも遅れが生じていると指摘する。感染状況や調査の進展に関する情報が十分に共有されず、現場では限られた情報をもとに対応を迫られる場面もあったという。

専門家は、感染症の流行は今後も発生し得るとして、公衆衛生体制の維持には継続的な投資が不可欠だと警鐘を鳴らしている。今回の流行は、感染症だけでなく、公衆衛生分野の人員や予算の縮小が危機対応能力を低下させることを示す事例となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします