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米国のハイチ移民TPS打ち切り、現場で混乱広がる「人手不足に拍車」

TPSは紛争や自然災害などで安全な帰国が困難な国の出身者に対し、一時的な滞在と就労を認める制度である。
2025年6月30日/米ニューヨーク市、ハイチ人の一時保護資格(TPS)剥奪に抗議する女性(AP通信)

米国で一時保護資格(TPS)の対象となっていたハイチ移民の就労許可が相次いで失効し、全米各地で移民本人と雇用主の双方に混乱が広がっている。トランプ政権が進める移民政策の一環として約35万人のハイチ人に対するTPSが終了し、最高裁判所も政府の措置を認めたことで、多くの移民が就労資格と国外退去の危機に直面している。

TPSは紛争や自然災害などで安全な帰国が困難な国の出身者に対し、一時的な滞在と就労を認める制度である。ハイチは2010年の大地震以降、対象国に指定され、多くの移民が米国内で合法的に働いてきた。しかし政権はこの制度について、あくまで一時的な措置であるとして終了を決定し、法廷闘争の末、最高裁は先月、政府の主張を認めた。

一方、就労許可証の扱いは極めて不透明な状態が続いた。市民権・移民局(USCIS)は期限切れのたびに数日間だけ許可を延長してきたが、7月下旬以降、延長措置が行われず、多くの雇用主が従業員を勤務させてよいのか判断できない状況に陥った。政府の確認サイトで資格失効が表示されたことから、フロリダ州キーウェストの飲食店では6人のハイチ人従業員を勤務停止とした。

建設業や外食産業、介護施設など移民労働者への依存度が高い業界では影響が深刻化している。人事コンサルタントや介護施設団体は、制度変更が相次ぎ企業側も対応に追われており、人員確保やサービス維持への懸念が高まっていると指摘する。特に高齢者介護の現場では慢性的な人手不足が続くなど、経験豊富な職員の離職により、利用者への影響は避けられないとの声が上がる。

当事者の不安も深刻だ。ハイチでは武装ギャングによる暴力が激化し、150万人余りが避難生活を余儀なくされているほか、多数の死傷者が発生している。長年米国で生活し、家族への仕送りを続けてきた移民の中には、「帰国すれば命を落とす恐れがある」と訴える人も少なくない。仕事を失えば生活費や家賃の支払いも困難となり、拘束や強制送還への恐怖を抱えながら日々を過ごしている。

トランプ政権はTPSは永住資格への道ではないとして、終了を正当化している。しかし、人道支援団体や企業関係者は、治安が著しく悪化したハイチへの送還は安全上の問題が大きいだけでなく、米国経済を支える労働力の喪失にもつながると懸念を強めている。

就労資格を巡る混乱は移民政策と人道上の配慮、労働力不足という課題が複雑に絡み合う問題として、今後も議論が続きそうだ。

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