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米国26年4月雇用統計、11.5万人増、市場予想上回る、弱さも

雇用の伸びは前月から減速したものの、景気減速懸念が広がる中でも労働市場の底堅さを示す結果となった。
2026年4月27日/米テキサス州ヒューストンの建設現場(Getty Images)

労働省が8日に発表した2026年4月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比11万5000人増となり、市場予想を大きく上回った。雇用の伸びは前月から減速したものの、景気減速懸念が広がる中でも労働市場の底堅さを示す結果となった。失業率は4.3%で横ばいだった。

市場では、イラン情勢の緊迫化に伴う原油高やトランプ政権による関税政策、移民規制の影響などを背景に、雇用の大幅な悪化を予想する見方が強まっていた。ロイター通信のエコノミスト予想は6万人台にとどまっていたが、結果はこれを大きく上回った。

業種別では、医療・福祉分野が雇用増をけん引した。医療関連では約3万7000人の雇用が増加したほか、運輸・倉庫、小売業でも雇用拡大が続いた。一方、連邦政府部門では人員削減が続き、情報関連産業や金融業でも雇用減少がみられた。

ただ、統計の中身には弱さを示す指標もある。家計調査ベースでは就業者数が22万6000人減少し、経済的理由によるパートタイム労働者が大幅に増加した。労働参加率も低下しており、専門家の間では「表面的な数字ほど強い内容ではない」との指摘も出ている。

平均時給は前年同月比3.6%増となったものの、伸び率は市場予想をやや下回った。賃金上昇圧力が一定程度落ち着いていることから、インフレ加速への警戒はやや後退している。ただ、中東情勢の悪化によるエネルギー価格上昇が長引けば、消費者心理や企業活動に悪影響を及ぼす可能性があるとの見方は根強い。

金融市場では、雇用統計を受けて米景気への過度な悲観論が後退し、株式市場は上昇した。一方で、労働市場が急速に悪化していないことから、連邦準備制度理事会(FRB)が早期利下げに動くとの観測は弱まった。FRBは依然としてインフレ抑制を重視しており、市場では政策金利据え置きが長期化するとの見方が広がっている。

米国経済はここ数カ月、雇用の減速と物価高が同時進行する難しい局面にある。AI導入による雇用構造の変化や、高関税政策による企業コスト増加も企業心理を冷やしている。それでも今回の統計は、米企業が依然として一定の採用意欲を維持していることを示した形だ。もっとも、雇用増加は医療など一部業種に偏っており、労働市場全体の勢いが持続するかは不透明との見方も多い。

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