SHARE:

米中央軍、ホルムズ海峡でイラン船籍の石油タンカー2隻を攻撃

対象となったのは空の状態だったタンカーで、米側は「米国による海上封鎖を突破しようとしていた」と説明している。
2026年3月1日/カタール、ドーハ、イランの攻撃を受けた工業地帯(ロイター通信)

米中央軍(CENTCOM)は8日、ホルムズ海峡周辺で米軍がイラン船籍の石油タンカー2隻を攻撃したと発表した。対象となったのは空の状態だったタンカーで、米側は「米国による海上封鎖を突破しようとしていた」と説明している。中東情勢が緊迫する中、米国とイランの軍事的対立は一段と激しさを増している。

CENTCOMによると、攻撃を受けたのはイラン船籍の「M/T Sea Star III」と「M/T Sevda」で、米海軍の戦闘機F/A18スーパーホーネットが精密兵器を使用して無力化した。米軍は7日にも別のイラン船籍タンカー1隻を攻撃しており、今回で3隻目となる。CENTCOMは声明で、「イランへ向かっていたこの3隻はいずれも航行を停止した」と発表した。

米国は4月以降、イランに対する海上逆封鎖を強化している。背景にはイラン核開発問題やペルシャ湾周辺で相次ぐ軍事衝突がある。特に世界有数の石油輸送ルートであるホルムズ海峡では商船やタンカーへの攻撃が相次ぎ、各国が警戒を強めている。トランプ政権はイラン産原油の輸送を阻止することで、イラン政府への経済的圧力を高める狙いがあるとみられている。

一方、イラン側は米軍の行動を「停戦合意違反」と非難している。イラン国営メディアは8日、米軍がタンカーや沿岸地域を攻撃したと報じ、「民間船舶を標的にした危険な挑発行為だ」と反発した。また、イラン軍はホルムズ海峡付近の米海軍艦艇に対してミサイル攻撃を行ったとも報じられている。イラン側は米艦隊が損傷を受けて後退したと主張しているが、米国防総省は詳細なコメントを避けている。

今回の攻撃は米国とイランの間で続く「限定的停戦」の最中に発生した。4月には米国とイスラエルがイラン国内の軍事施設を空爆し、その後、双方は全面衝突回避を模索してきた。しかし、ホルムズ海峡の通航問題や海上封鎖を巡る対立は収まっておらず、散発的な攻撃が続いている。

ホルムズ海峡は世界の海上石油輸送の3分の1が通過する戦略的要衝であり、軍事衝突の拡大は世界経済にも大きな影響を与える。最近では、UAE沖でのタンカー攻撃や商船被害も報告され、原油価格は上昇傾向を強めている。米軍は機雷除去や船舶護衛任務を行い、中東地域への空母打撃群の追加配備も進めている。

米政府は「海上封鎖はイランへの圧力維持に不可欠」との立場を崩していないが、イラン側も対抗措置を続ける姿勢を示している。外交ルートでは停戦延長や海峡通航再開に向けた協議も行われているものの、現時点で緊張緩和の兆しは乏しい。中東情勢は依然として不安定な状態が続いている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします