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パラグアイ・台湾首脳会談、中国の外交圧力に対抗

ペニャ氏は台北の総統府前で行われた歓迎式典で「パラグアイは台湾との関係を非常に重視している」と述べ、民主主義や自由、人権といった共通の価値観に基づき、今後も戦略的協力関係を深めていく考えを示した。
2026年5月8日/台湾、首都台北、頼清徳総統(左)とパラグアイのペニャ大統領(AP通信)

南米パラグアイのペニャ(Santiago Peña)大統領は8日、訪問先の台湾で演説し、台湾との外交関係を重視する姿勢を改めて表明した。中国政府が前日にパラグアイに対して台湾との断交を求めていたことから、今回の訪台は中国による外交圧力に対抗する形となった。台湾にとってパラグアイは南米で唯一の外交承認国であり、両国は関係強化を通じて中国への対抗姿勢を鮮明にしている。

ペニャ氏は台北の総統府前で行われた歓迎式典で「パラグアイは台湾との関係を非常に重視している」と述べ、民主主義や自由、人権といった共通の価値観に基づき、今後も戦略的協力関係を深めていく考えを示した。これに対し頼清徳(Lai Ching-te)総統は台湾の国際社会参加を支持するパラグアイ政府に謝意を示し、「今回の訪問を通じて友好関係はさらに深まる」と強調した。

中国外務省の報道官は7日の記者会見で、パラグアイに対し「歴史の正しい側に立つべきだ」と述べ、台湾との外交関係を解消して中国と国交を樹立するよう要求していた。中国は「一つの中国」原則を掲げ、台湾を国家として承認する国とは外交関係を結ばない立場を取っている。現在、中国と国交を持つ国は183カ国に上り、台湾を正式承認する国は12カ国まで減少している。

台湾は近年、中国による外交的孤立化圧力に直面している。2023年には中米ホンジュラスが台湾と断交、2024年には太平洋島しょ国ナウルも台湾との外交関係を解消した。こうした中で、パラグアイは台湾にとって極めて重要な友好国となっている。台湾の外交承認国の多くは中南米や太平洋の小国であり、南米主要国で台湾を承認しているのはパラグアイだけだ。

パラグアイは1957年に台湾と外交関係を樹立して以来、約70年にわたり関係を維持してきた。農業支援やインフラ整備、教育分野などで台湾から多くの支援を受けており、近年は半導体や人工知能(AI)分野での協力拡大も進んでいる。今回の首脳会談ではAIコンピューティングセンター投資に関する覚書を含む複数の協定が締結された。

一方、パラグアイ国内では、中国との経済関係を重視すべきだとの声も根強い。中国は世界最大級の農産物輸入国であり、牛肉や大豆の輸出拡大を期待する農業団体や経済界からは、中国との国交樹立を求める意見も出ている。実際、パラグアイは中国と正式な外交関係を持たないにもかかわらず、中国市場との貿易関係を維持している。

ペニャ氏は台湾市場でパラグアイ産鶏肉の輸入が解禁されたことを成果として強調した。また、台湾との協力は「外交儀礼を超えた実質的な関係」だとも述べ、経済面でも利益があるとの認識を示した。

中国は近年、軍事面でも台湾への圧力を強め、台湾周辺への軍用機や艦艇の展開を常態化させている。こうした中、台湾は残された友好国との関係維持を最重要課題としており、頼総統も最近、アフリカで唯一の承認国であるエスワティニを訪問したばかりだった。中国と台湾の外交争いは今後も中南米や太平洋地域を舞台に続く可能性が高い。

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