ハイチ大統領暗殺事件、被告4人に有罪評決 米フロリダ州地裁
事件は2021年7月7日に発生。首都ポルトープランス近郊の大統領私邸にコロンビアの元兵士を中心とする武装集団約20人が押し入り、モイーズ氏を射殺した。
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2021年にカリブ海の島国ハイチで起きたモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件をめぐり、米フロリダ州マイアミの連邦裁判所は8日、事件に関与したとして起訴された男4人に対し、有罪評決を言い渡した。検察は南フロリダが暗殺計画の資金調達や実行準備の拠点になっていたと主張しており、今回の評決は国際的な暗殺事件の全容解明に向けた重要な節目となった。
有罪となったのは、南フロリダの警備会社の関係者アルカンヘル・プレテル・オルティス(Arcangel Pretel Ortiz)被告、アントニオ・イントリアゴ(Antonio "Tony" Intriago)被告、金融業者ウォルター・ベインティミジャ(Walter Veintemilla)被告、そしてハイチ系米国人ジェームズ・ソラージュ(James Solages)被告の4人。陪審は4被告がモイーズ氏の殺害または誘拐を共謀し、計画実行のため物資や資金を提供したと認定した。さらに、米国の中立法違反でも有罪となり、終身刑が科される可能性がある。
事件は2021年7月7日に発生。首都ポルトープランス近郊の大統領私邸にコロンビアの元兵士を中心とする武装集団約20人が押し入り、モイーズ氏を射殺した。大統領夫人も重傷を負い、米国で治療を受けた。この暗殺によってハイチは深刻な政治混乱に陥り、現在に至るまでギャング暴力と国家機能の崩壊が続いている。
裁判ではモイーズ夫人が最初の証人として出廷した。夫人は銃声で目覚めた直後、夫が「我々は殺される」と語ったと証言し、武装集団がスペイン語を話しながら襲撃してきた状況を詳細に説明した。夫人はまた、多数の警護要員がいたにもかかわらず、襲撃時に十分な対応がなされなかったとも証言した。
米検察によると、被告らはモイーズ政権を打倒した後、自分たちに利益をもたらす新政権を樹立しようとしていた。当初はハイチ系米国人医師クリスチャン・サノン(Christian Emmanuel Sanon)被告を新指導者として擁立する計画が進められていたという。サノン被告は今後裁判を受ける予定だ。検察側は被告らが「権力と利益」を目的に暗殺計画を進めたと主張した。
一方、弁護側は「被告らは合法的な逮捕作戦に協力していると信じていた」と反論し、真の黒幕は別にいると主張した。また、ハイチ側の捜査は混乱しており、被告らがスケープゴートにされた可能性もあると訴えた。しかし陪審は最終的に検察側の主張を支持した。
この事件を巡っては、すでに少なくとも5人が罪を認め、終身刑を受けている。元ハイチ上院議員や元DEA協力者、コロンビアの元兵士らも米国で有罪となった。だが、暗殺を命令した人物が誰なのかについては、依然として明確になっていない。
ハイチ国内でも約20人が起訴されているが、ギャング支配の拡大や司法制度の崩壊により捜査は停滞している。2024年にはモイーズ夫人や元首相らが共謀容疑で訴追されたものの、その後控訴審で再捜査が命じられるなど、事件の真相解明には至っていない。モイーズ氏暗殺は現在もハイチ政治の深い闇を象徴する事件となっている。
